- ろ過
フィルタープレスの運転中停止 電気・油圧・機械の診断手順
ラインが止まった。警報が鳴っている。でも、原因がどこにあるのか、すぐには分からない。
フィルタープレスの運転中停止は、電気・油圧・機械と複数の系統にまたがるため、どこから手をつけるかで復旧時間が大きく変わります。
本稿では、現場で使える確認の優先順位と、各系統の主な原因を整理します。
止まった原因を探す前に確認する3つの基本
フィルタープレスが運転中に停止するとき、原因の系統は大きく3つです。電気・センサー系、油圧系、そして機械的な問題。いきなり設備を触る前に、まず確認すべきことがあります。
アラームコードを記録する
現代のフィルタープレスはPLC(プログラマブルロジックコントローラ)で制御されており、何らかの異常を検知すると即座に停止し、エラーコードを表示します。
このコードが原因特定の出発点です。エラー番号と表示内容を必ず記録してから、次のステップへ進みます。
コードを確認せずに再起動を繰り返すと、根本原因が分からないまま停止を繰り返す事態に陥ります。
止まったタイミングを把握する
圧入中に止まったのか、圧搾中なのか、開枠動作の途中なのか。止まった工程によって、疑うべき系統が大きく絞られます。
たとえば、圧入中の停止は供給ポンプや配管のトラブルと関連しやすく、圧搾中の停止は油圧系か圧力センサーの問題が多いです。開枠時の停止は、機械的な残留物や電気インターロックが候補になります。
直近の変化点を洗い出す
原因を探るとき、直近の変化点が重要な手がかりになります。
スラリーの性状が変わっていないか。ろ布を最近交換したか。作動油を補充したか。点検後から停止が増えていないか。
変化点がある場合、その作業と停止の関係を先に検証します。
電気・センサー系の確認ポイント
電気・センサー系の問題は外見では気づきにくく、断続的な停止として現れることが多いです。アラームコードを確認し、該当する回路を辿ります。
インターロック回路の誤作動
フィルタープレスには安全を確保するためのインターロック回路が複数あります。
代表的なものとして「ろ板が正しく閉まっていない」「給液ポンプの圧力が規定値に達していない」「保護カバーが開いている」などの条件を検知すると自動停止します。
インターロックの誤作動の多くは、センサー自体の汚れや位置ずれが原因です。
スラリーのミストが接点部に付着してリミットスイッチが正しく反応しなくなる。あるいは、長期使用によってセンサー取り付けブラケットがわずかにずれ、作動位置がずれてしまうケースもあります。
確認方法は、センサーを手動で作動させて反応を見ること。テスターで導通を確認することも有効です。センサー周辺の清掃と、ブラケットの締め付け確認を先に行ってから、センサー本体の交換を検討する順序が効率的です。
センサーの劣化・断線
圧力センサー、温度センサー、液面センサーは長期間使用すると、出力値がドリフト(ずれ)したり、配線が断線したりします。
特に屋外設置や高温・高湿環境では、コネクタ部の腐食が進みやすく、接触不良による誤検知が起きます。
アラームコードが「センサー異常」を示している場合は、センサー本体の交換と同時に配線の被覆状態と端子の締め付けトルクも確認します。
センサーを交換しても再発する場合は、PLCの入力カードや電源ユニットの異常も視野に入れます。
なお、同じ箇所で停止が繰り返されるときは、センサーを都度交換するより、環境対策(防水カバーの設置・接点保護処理)を先に検討する方が根本対応になります。
油圧系の確認ポイント
油圧系の問題は、圧板の閉じ動作・圧搾圧力・開枠動作のすべてに影響します。圧搾中に「油圧異常」で止まるケースは現場でよく見られます。
作動油量と油温の管理
油圧ユニットの作動油が規定量を下回ると、ポンプキャビテーションを起こし、正常な圧力が出なくなります。
まず油面計で油量を確認し、不足があれば規定の作動油を補充します。このとき、使用油種の混合には注意が必要です。異なるグレードの油を混ぜると添加剤の反応で泡立ちや粘度変化が起き、状態が悪化することがあります。
油温は夏場に40〜50℃を超えることがあり、粘度が下がって圧力が安定しなくなります。
オイルクーラーの詰まりや冷却水の流量不足が原因になるケースが多く、冷却系統の確認を合わせて行います。
作動油の交換目安は、初回交換が稼働開始後500〜1,000時間、その後は年1回もしくは2,000〜3,000時間ごとが一般的です。高温環境や連続運転の現場では劣化が早まるため、油の色や異臭を定期確認してください。
圧力センサーと安全弁の動作確認
油圧回路には、設定圧力を超えた場合に油をタンクへ逃がす安全弁(リリーフ弁)があります。
この弁の設定圧力が経年で変化したり、シールの劣化によって内部リークが起きると、正常な圧力が維持できません。
圧力センサーの出力値と実際の油圧計の値を比較することで、センサーのズレを確認できます。また、油圧シリンダーのシール劣化は外部への油漏れとして現れることがあるため、シリンダー周囲に油染みがないかを目視で確認します。
機械系の確認ポイント
電気・油圧系に問題が見当たらない場合は、機械的な原因を探ります。
ろ板間の残留物による閉圧不良
最も多い機械系トラブルは、ろ板間にケーキやスラリーの固化物が挟まったことによる「閉圧不良」です。
フィルタープレスはろ板を密着させて圧力をかける設備のため、板と板の間に異物があるとインターロックが働いて停止します。
開枠時にケーキが排出しきれず、ろ板の溝部分に残留することがよくあります。清掃をせずに次のサイクルを始めると、閉圧不良を繰り返します。
ろ板1枚1枚の溝と排液口を目視で確認し、残留物を取り除いてから再起動します。
給液配管内のスラリー固化
運転停止後、配管内に残留したスラリー(液体に微細な固体が混じったドロドロの液体・スラリー)が固化すると、次回の運転開始時に圧力が上がらない原因になります。
定期的なフラッシング(配管洗浄)と、停止前のエア吹きが有効な予防策です。
固化しやすい性状のスラリーを扱う現場では、停止時の配管洗浄手順を作業標準として明文化することを推奨します。
アラームコードと停止タイミングが診断の出発点
フィルタープレスの運転中停止は、電気・センサー系、油圧系、機械系の3系統を順に確認することで、多くのケースは原因を特定できます。
アラームコードの記録と停止タイミングの把握が、診断を早める出発点です。
センサーの誤作動や油圧のトラブルは、日常点検の精度を上げることで多くを未然に防げます。
同じ箇所で繰り返し停止しているなら、設備の経年状態を見直す機会でもあります。
納入実績6,000例以上の経験を持つマキノが、原因の特定から対策の検討までサポートします。
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FAQ|よくある質問
Q:フィルタープレスが止まったとき、まず何を確認すればいいですか?
操作盤のアラームコードを確認し、番号と内容を記録することが最初のステップです。
次に「どの工程で止まったか」を把握します。圧入中か、圧搾中か、開枠中かによって疑うべき系統が変わります。
複数回同じ箇所で停止している場合は、その工程に対応するセンサーや油圧回路を重点的に点検します。
Q:フィルタープレスの油圧ユニットはどのくらいの頻度でメンテナンスが必要ですか?
作動油の交換は、初回が稼働開始後500〜1,000時間、その後は年1回もしくは2,000〜3,000時間ごとが目安です。
ただし高温環境や連続運転の現場では劣化が早まるため、油の色・粘度・異臭を定期的に確認することが重要です。
油量は月1回の目視確認を推奨します。黒ずみや異臭が出ている場合は時期にかかわらず早めに交換してください。
Q:センサーの誤作動を現場で減らすにはどうすればいいですか?
スラリーのミストがセンサー接点部に付着しないよう、定期的な清掃が効果的です。
センサー取り付けブラケットの緩みや位置ずれを点検で確認する習慣をつけることで、誤検知の多くは防げます。
屋外設置や高湿環境では防水カバーの設置や接点保護スプレーの活用も検討してください。
Q:ろ板間のケーキ残留が原因で繰り返し停止する場合、どう対処すればよいですか?
開枠後にろ板の溝と排液口を目視で確認し、残留ケーキを取り除いてから再起動します。清掃を省いたまま次のサイクルを始めると閉圧不良が繰り返されます。固化しやすいスラリーを扱う現場では、停止時の配管フラッシング(洗浄)手順を作業標準として決めておくと再発を防ぎやすくなります。