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フィルタープレスで使う専門用語集 スラリー・ケーキ・ろ液・ろ板の意味

担当になった初日から、カタログや現場の会話に「スラリー」「ケーキ」「ろ液」といった言葉が飛び交う。 辞書には載っていないか、あっても「液体に固体が混じった状態」とだけ書かれていて、実際の工程でどう使われる言葉なのかが分からない。 この記事では、フィルタープレスの現場で頻繁に出てくる用語を、工程の流れに沿って一つずつ説明します。

ろ過工程は「スラリー」から始まる

フィルタープレスに投入する原料のことを「スラリー」と呼びます。 スラリーとは、液体に微細な固体が混じったドロドロの液体のことです。工場の廃水に含まれる微粒子や、化学プロセスで生じた沈殿物など、その中身は製造現場によって大きく異なります。 スラリーは均一に見えても、固体の粒径(粒の大きさ)・粘度・温度・固形分の濃度がそれぞれ異なります。この性質の違いが、フィルタープレスの圧力・ろ布の種類・運転サイクルの設計に直結します。「スラリーの性質を読む」ことが、ろ過設計の出発点になります。 供給するポンプは「MDP型ポンプ」と呼ばれる専用の定量ポンプを使うことが多いです。スラリーを一定の圧力・流量でフィルタープレスに圧入するための機器で、不均一な供給はケーキの形成ムラや閉塞につながるため、安定した供給が重要になります。

ろ布・ろ板は「固体と液体を分ける壁」になる部品

フィルタープレスの内部は、「ろ板」と「ろ布」で構成されています。この2つが、固液分離の主役を担う部品です。

ろ板

ろ板とは、ろ布を支える板状の部品です。フィルタープレスの内部に複数枚が並び、液体を逃がすための溝や流路が刻まれています。スラリーの圧力を受け止めながら、分離した液体(ろ液)を外部へ導く役割を果たします。 材質はポリプロピレンや金属など、処理するスラリーの性質(酸性・アルカリ性・温度)に応じて選ばれます。

ろ布

ろ布とは、液体だけを通して固体を堰き止める特殊なフィルターのことです。各ろ板の表面に張られており、スラリーが通過するときに固体成分だけを留め置きます。 織り目の細かさ(目開き)は処理対象によって変わります。細かすぎると目詰まりが早まり、粗すぎると固体が液側に抜けてしまうため、スラリーの粒径と一致したろ布を選ぶ必要があります。ろ布は消耗品です。詰まりや破損が出れば交換します。

ろ過が進むとケーキ層が育ち、最後にケーキが取り出される

スラリーをろ板の間に圧入すると、ろ布が固体を堰き止め、液体だけが通過して外部に排出されます。この排出された液体を「ろ液」と呼びます。工場によっては回収・再利用するケースも多く、水質管理の観点でもろ液の状態は重要です。 一方、ろ布上に留まった固体は少しずつ積み重なっていきます。この堆積した固体の層を「ケーキ層(ろ過が進むにつれてろ布の表面に積み重なる固体の層)」と呼びます。ケーキ層が厚くなるほど、新たなスラリーが通りにくくなります。圧力を維持しながら規定の厚みまで積み上げ、最終的に取り出した固形物のことを「ケーキ」と呼びます。 ケーキは廃棄物として産廃処理に回すこともあれば、肥料や建材の原料として再利用することもあります。ケーキの重量は産廃コストに直結するため、いかに水分を減らしてからケーキを取り出すかが、現場の運転管理における大きなテーマになります。

含水率は「ケーキに残った水の割合」で、コストに換算できる数値

含水率とは、分離後の固形分(ケーキ)に残る水分の割合(含水率)のことです。たとえば含水率70%のケーキ100kgには、水分が70kg含まれています。 この数値がコストに直結します。含水率が5%下がると、年間数百トン単位でケーキの重量が減り、産廃処理費(約2万円/t)に換算すると年間数百万円の削減につながるケースもあります。 フィルタープレスの脱水後含水率は、一般に50〜70%です。遠心分離機が70〜85%、ベルトプレスが85%以上に比べると、固く絞れる機械といえます。ただし同じフィルタープレスでも、運転条件(圧力・サイクル時間)やスラリーの性質によって含水率は変わります。

単純加圧式と圧搾式で、含水率の下限が変わる

フィルタープレスには大きく「単純加圧式」と「圧搾式」の2種類があります。違いは、ケーキをさらに絞り込む工程があるかどうかです。 単純加圧式は、スラリーをポンプ圧で圧入し、ろ布でろ過するだけの方式です。仕組みがシンプルで、初期費用を抑えたい場合に適しています。 圧搾式は、圧入後にダイアフラム(膜)や水圧などでケーキをさらに加圧し、追加の脱水をかける方式です。最大1.5MPa(大気圧の約15倍)の圧力をかけられるため、単純加圧式より含水率を数%〜十数%下げることができます。含水率の低減が産廃コスト削減に直接効く場合、圧搾式への切り替えが選択肢になります。 どちらが適切かは、スラリーの性質・目標とする含水率・生産量・予算のバランスによって変わります。

まとめ

フィルタープレスの現場で使われる専門用語は、工程の流れに沿って理解すると整理しやすくなります。スラリーを投入し、ろ布・ろ板でろ液と固形分を分け、ケーキとして取り出す。この流れの中に、各用語はそれぞれの役割を持って位置しています。 含水率は、単なる技術的な指標でなく産廃コストに直結する数値です。含水率を5%下げることで年間の廃棄物重量が数百トン変わり、処理費の削減につながります。どの方式・どのろ布・どの運転条件が自社のスラリーに合うかは、スラリーの性質によって変わるため、個別の検討が必要です。 マキノでは1932年の創業以来、6,000例以上の納入実績を通じて積み上げた知見で、スラリーごとに最適な設計を提案しています。用語の疑問から機種の選定まで、担当になったばかりの方からのご相談も歓迎します。

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FAQ|よくある質問

Q:スラリーとスラッジは同じ意味ですか?


似た言葉ですが、文脈での使われ方が異なります。スラリーは「固体が液体中に分散した流動状の混合物」で、ろ過機械への投入前の状態を指すことが多いです。スラッジは「沈殿・堆積した汚泥や固形物」を指し、排水処理後の廃棄物を指す場面で使われます。フィルタープレスの文脈では、投入前の原料を「スラリー」、ろ過後に取り出された固形物を「ケーキ」と呼ぶのが一般的です。

Q:含水率を下げると産廃コストはどれくらい変わりますか?


産廃処理費は約2万円/tが目安です。含水率が5%下がると、年間数百トン単位でケーキの重量が減り、年間数百万円の削減につながるケースがあります。たとえば年間500tのケーキを排出している工場で含水率が70%から65%に改善されると、同じ固形分量でも排出重量は大幅に減ります。圧搾式フィルタープレスへの切り替えや運転条件の見直しで、この水準の改善を達成している事例があります。

Q:ろ布の交換時期はどう判断すればよいですか?


ろ液が濁り始めた(固体が液側に抜けている)、ケーキの含水率が以前より高くなった、目詰まりで圧力が規定値まで上がらない、といった変化が交換のサインです。ろ布の寿命はスラリーの性質・運転サイクル数・洗浄方法によって異なりますが、定期的な目視点検と含水率の記録が早期発見につながります。破損が進んでからの交換より、早めに対処するほうが全体のランニングコストを抑えられます。

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