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フィルタープレスのサンプル試験で何が決まるか

フィルタープレスの導入検討で「カタログを見ても、自社のスラリーにどの機種が合うか分からない」という相談は多く聞かれます。
固液分離の性能は、処理するスラリーの粒径・粘度・成分によって大きく変わります。一般的な目安の数値はあっても、自社の現場で実際にどの値が出るかは試験をしなければ確認できません。
マキノのテクニカルセンターでのサンプル試験は、持参したスラリーを装置に通して性能値を実測する工程です。ここで出てきたデータが、そのまま機種・サイズ・ろ布の選定根拠になります。

テクニカルセンターの試験で出てくる3つの性能値

テクニカルセンターでのサンプル試験では、主に3つの性能値を測定します。いずれも機種選定と導入後の運用コストに直結する値です。それぞれが何を意味し、何を決めるかを見ていきます。

ろ過速度(処理量の計画根拠になる)

ろ過速度は、どれだけの量のスラリーをどれだけの時間で処理できるかを示す値です。1日あたりの処理量の計画に直結するため、必要なろ板枚数・サイクル時間・機体サイズを決める根拠になります。

「圧力を上げれば速くなる」とイメージしやすいですが、実際は圧力と抵抗の関係で決まります。スラリーの固形分が圧縮されやすい性質を持つ場合、加圧を上げるほどケーキ層(ろ過が進むにつれてろ布の表面に積み重なる固体の層)が密になって抵抗が増し、かえって速度が落ちることがあります。

試験では複数の圧力条件を変えながらデータを取り、処理速度が安定する条件を見つけます。現場の処理量の目標値と照らし合わせながら、どの圧力・サイクル時間が現実的かを絞り込んでいきます。

含水率(産廃コストに直結する値)

含水率(分離後の固形分に残る水分の割合)は、廃棄・運搬にかかる費用に直接関わります。産廃処理費は重量で課金されることが多く、目安として約2万円/tといわれます。含水率が5%下がると年間数百トン単位の重量削減になり、削減額が年間数百万円規模になることもあります。

試験では加圧時間や圧力条件を変えながら含水率の変化を計測します。どの条件でどこまで含水率を下げられるかを試験データとして持っておくと、導入後の性能目標を達成できるかどうかを事前に確認できます。脱水性能を1%でも改善することが経営的な判断に直結する理由がここにあります。

ろ布への負荷(交換頻度と運用コストに関わる)

ろ布(液体だけを通して固体を堰き止める特殊なフィルター)は消耗品であり、スラリーの性質によって目詰まりの起きやすさや洗浄頻度が大きく変わります。油分が多いスラリーや粘着性の高い成分が含まれる場合、素材選定を誤ると短期間でろ布の通液性能が落ちます。

試験では実際にスラリーを通してろ布への影響を確認します。この段階で目詰まりの傾向を把握しておくと、適切な素材と目開きを選定でき、導入後の交換サイクルをある程度見通せます。ランニングコストに大きく関わる部分なので、試験の中でも丁寧に確認しておきたいポイントです。

試験に必要なスラリーは10リットルから持ち込める

テクニカルセンターでのサンプル試験に必要なスラリーの量は、概ね10リットルから、多くてもポリタンク1本(20リットル程度)あれば始められます。工場の処理ラインから採取できる現実的な量の目安です。

スラリーは現場で実際に処理している状態のものを持参してください。添加剤を投入する前か後かの違い、温度や濃度の条件が実操業時に近いほど、試験データが実際の運用に近い値として出ます。

事前に把握しておくとスムーズに進む情報として、pH・温度・固形分濃度・粒径分布があります。現場で計測できていない場合でも、試験当日に確認しながら進められます。「スラリーはあるが性状の詳細が分からない」という状態でも試験を受けられます。

試験では圧力条件や加圧時間を複数パターンで変えながらデータを取ります。1条件だけでなく複数の条件を測定することで、処理量・含水率・ろ布への負荷それぞれが効率よく成立する運転条件を見つけられます。ここで得たデータをもとに、単純加圧式か圧搾式かという機構の違いも含めた仕様の方向性が決まります。

試験結果がそのままフィルタープレスの仕様になる

試験で得たデータは、そのまま仕様決定の根拠に使います。参考資料として添付するのではなく、試験で確認した性能値を前提に機器を組み上げる流れです。

含水率の比較から機構の選択へ

フィルタープレスの脱水後含水率は50〜70%が目安です。遠心分離機の70〜85%、ベルトプレスの85%以上と比べると、固形分に残る水分量が少なく、廃棄物の重量が下がりやすい特徴があります。

ただしこの数値は「スラリーによって変わる」という前提があります。同じ業種でも工場ごとにスラリーの性質が異なれば、達成できる含水率の下限も変わります。試験なしに「50%台は達成できる」とは言い切れない理由がここにあります。

試験で含水率の下限が見えてきたとき、目標値に届くかどうかで機構の選択が変わることがあります。圧搾式はろ板のダイヤフラム(弾性のある膜)を使い、ろ過終了後にさらに機械的な圧力を加えることで含水率を下げる方式です。単純加圧式と比べて設備が複雑になる分、より低い含水率を目指せます。どちらを選ぶかは、試験データと目標値の組み合わせで判断します。

6,000例以上の実績を試験条件の組み立てに使う

マキノでは納入実績が6,000例以上あります。異なる業種・異なるスラリー性質に対して試験と導入を繰り返してきた積み重ねです。

テクニカルセンターでの試験は、この実績データをもとに条件を組み立てます。「この粒径・粘度帯のスラリーではこういった傾向が出やすい」という経験則があるため、初めてフィルタープレスを検討する現場でも、試験条件の方向性を早い段階で絞り込めます。

試験で出てきたデータは、類似事例と照らし合わせながら解釈します。同じ含水率の数値でも、スラリーの成分・温度・前処理の有無によって意味が変わることがあります。数値を並べるだけでなく、その背景を含めて仕様に反映させる流れが、テクニカルセンターでの試験から導入へのプロセスです。

テスト前提の選定が導入後の失敗リスクを下げる

フィルタープレスの仕様は、スペック表の数字だけでは確定できません。処理するスラリーの性質を試験で確認し、その結果を根拠に機種・サイズ・ろ布・加圧条件を決定します。

テクニカルセンターでのサンプル試験はポリタンク1本(10〜20リットル)のスラリーから始められます。試験で測定するのはろ過速度・含水率・ろ布への負荷の3点で、この数値が仕様の根拠になります。6,000例以上の実績データと照らし合わせながら試験条件を組み立て、スラリーの性質に合った機器を仕上げます。

試験を経ずに導入すると、想定した含水率が出ない・ろ布の交換頻度が高くなる・処理量が計画に届かないといったリスクが残ります。サンプル試験を経た選定は、導入後にこれらが発覚するリスクを減らします。手元のスラリーで試験を実施してみたい場合は、マキノのテクニカルセンターにご相談ください。

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FAQ|よくある質問

Q:テクニカルセンターでのサンプル試験には何リットルのスラリーが必要ですか


概ね10リットルから、多くてもポリタンク1本(20リットル程度)で試験を進められます。
スラリーの性質によって必要量は前後しますが、現場で実際に処理している状態のものを持参いただければ、この量でろ過速度・含水率・ろ布への負荷という主要な性能値を測定できます。

Q:サンプル試験なしではフィルタープレスの仕様は決められませんか


類似事例や標準仕様から初期案を組み立てることはできますが、導入後に「目標の含水率が出ない」「ろ布の交換が想定より早い」という事態を防ぐには試験を経た選定が確実です。
フィルタープレスの含水率は50〜70%が目安ですが、スラリーの粒径・粘度・成分によって実際の値は変わります。試験なしの選定はスペック上の適合にとどまり、運用後にズレが生じるリスクが残ります。

Q:テクニカルセンターで試験を依頼するときに用意するものは何ですか


持参するのはスラリー(10〜20リットル程度)です。
事前に把握しておくと試験がスムーズに進む情報として、pH・温度・固形分濃度・粒径分布があります。計測していない場合でも試験当日に確認しながら進められます。
あわせて「1日あたりの処理量の目標」と「達成したい含水率」を整理しておくと、試験条件の組み立てがより具体的に進められます。

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