- ろ過
廃プラ・廃棄物処理業の混合廃液を収益化する固液分離フロー
廃棄物処理業において、混合廃液の処理は収益を大きく左右するプロセスです。
廃プラの洗浄排水、廃油混入廃液、複合廃棄物から発生する混合廃液。これらは成分が均一でなく、処理が難しいために産廃コストがかさみやすいと言われています。
フィルタープレスを使った固液分離フローの設計次第で、廃棄物重量の削減と有価物の回収が実現し、収益性が変わります。本稿でその設計思想を整理します。
廃プラ処理業が直面する混合廃液の課題
廃プラ・廃棄物処理業が扱う廃液は、製造業の工場廃水とは性質が異なります。入荷する廃棄物のロットによって成分が変わるため、処理フローを固定しにくいことが最大の課題です。
スラリー性状の不均一性が処理を難しくする
廃プラを洗浄した後の排水には、プラスチック微粒子・塗料・油分・無機物が混在します。
このスラリー(液体に微細な固体が混じったドロドロの液体・スラリー)は、廃棄物の種類や前処理の方法によって、固形分濃度・粒径分布・粘度が毎回異なります。
固形分が細かく均一なスラリーであれば固液分離は比較的安定しますが、粒径が混在し油分が多いと、ろ布(液体だけを通して固体を堰き止める特殊なフィルター・ろ布)が目詰まりしやすくなります。
一般的な汎用機では、こうした変動するスラリーへの対応が難しく、処理効率が安定しません。
産廃処理コストが収益性を圧迫する
固液分離が不十分なまま廃棄物を処理に出すと、含水率(分離後の固形分に残る水分の割合・含水率)が高いケーキが大量の産廃として発生します。
産廃処理費の目安は1トンあたり約2万円です。含水率が5%下がれば、年間処理量が1,000トンの現場で100万円規模のコスト削減になります。
廃棄物処理業は「廃棄物を受け入れて処理する」ことで収益を上げますが、処理後の産廃コストが高すぎると、受け入れ単価と処理コストの逆ザヤが生じます。
固液分離の精度を上げることは、廃棄物処理業者にとって直接的な利益率の改善につながります。
収益性を高める固液分離フローの設計思想
混合廃液を収益化するフロー設計は、前処理・脱水・後処理の3段階を一体で考えることが基本です。
前処理で固形分を濃縮・均質化する
混合廃液をそのままフィルタープレスに投入しても、固形分が薄すぎると処理効率が落ちます。
前処理として、シックナー(沈降濃縮装置)や凝集沈殿槽で固形分を一定濃度に濃縮することで、フィルタープレスへの供給スラリーを均質化します。
また、廃液中に粒径の大きい異物が混在している場合は、ふるい分けや磁気選別を前工程に加えることでろ布の過度な摩耗を防ぎます。
「前処理の質がフィルタープレスの性能を決める」という設計思想は、混合廃液処理では特に重要です。
フィルタープレスで含水率を下げて廃棄物重量を削減する
前処理で均質化したスラリーをフィルタープレスで脱水すると、ケーキ層(ろ過が進むにつれてろ布の表面に積み重なる固体の層・ケーキ層)に高密度に固形分が圧縮されます。
フィルタープレスの脱水性能は、遠心分離機(含水率70〜85%)やベルトプレス(含水率85%以上)と比べて優れており、含水率50〜70%まで下げられます。
廃棄物処理業では、脱水後のケーキ重量が直接産廃コストに影響します。含水率を10%下げると廃棄物重量が1割以上削減できるため、年間の産廃処理費が大幅に改善します。
また、脱水後のケーキ中に有価金属(銅・アルミニウム・希少金属など)が含まれる場合、固液分離の精度が高いほど有価物の純度が上がり、回収価値が向上します。これが「廃棄物処理から資源化へ」という収益構造の転換につながります。
一気通貫プロセスが処理フロー全体の効率を最大化する
廃プラ・廃棄物処理の現場では、粉砕・洗浄・固液分離・乾燥の各工程が別々の業者から調達されることが多く、プロセス間の条件不一致がコストと品質の損失を生みます。
マキノは、フィルタープレスだけでなく、粉砕機・乾燥機との一貫プロセス提案を行います。
固液分離の前後工程も含めて1社で設計・調達することで、各工程の条件がフィルタープレスの入力条件に最適化され、含水率の安定と処理量の最大化が実現します。
一貫プロセス提案が特に有効なのは、「現状の処理フローで原因不明のコスト増が続いている」「設備を増やしたが処理能力が上がらない」「廃棄物処理から有価物回収に移行したい」という段階です。
各工程を個別に最適化するより、プロセス全体を俯瞰して設計する方が、結果的に投資回収が早くなります。
マキノの一品一様設計が混合廃液処理に有効な理由
廃プラ処理業が扱う混合廃液は、性状が均一でないため、汎用機の標準仕様では処理しきれないケースが多くあります。
マキノの一品一様設計とは、スラリーの粒径・粘度・温度・固形分濃度を実測し、圧力・ろ布素材・チャンバー容積・サイクル時間をその現場のスラリーに合わせて設計するアプローチです。
混合廃液の場合、廃棄物の入荷ロットで性状が変わる可能性があるため、テクニカルセンターでの試験に際して、代表的な数種類のスラリー条件でテストを行うことを推奨します。
テクニカルセンターでのテストは、スラリーのサンプル(概ね10リットルからポリタンク1本程度)をお預かりして実施します。テスト結果から最適な機種・仕様を提案するため、導入後に「期待した含水率が出ない」という事態を防げます。
創業1932年・納入実績6,000例以上の経験から、混合廃液の処理フロー設計にも幅広く対応しています。
3段階の固液分離設計が廃液処理の収益性を変える
廃プラ・廃棄物処理業の混合廃液は、スラリー性状の変動と産廃コストの高さが収益性を圧迫します。
前処理による固形分の濃縮・均質化、フィルタープレスによる含水率低下、粉砕・乾燥との一貫プロセス設計の3段階を組み合わせることで、処理コストの削減と有価物回収による収益化が実現します。
混合廃液処理でのスラリー性状の変動には、現場ごとの一品一様設計で対応します。
テクニカルセンターでの実機テストを活用することで、導入後のリスクを最小化できます。まずはスラリーのサンプルをお持ちください。
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FAQ|よくある質問
Q:廃プラ処理業でフィルタープレスを使うと産廃処理費はどれくらい削減できますか?
処理するスラリーの量と含水率の改善幅によって異なります。一般的な目安として、含水率が5〜10%改善すると、年間処理量1,000トンの現場で100〜200万円の削減が期待できます(産廃処理費の目安は約2万円/t)。
ただしスラリーの性状によって改善幅は異なるため、テクニカルセンターでのテストで実測値を取ることが最も確実な試算方法です。
Q:混合廃液の処理フローはどのように設計すればいいですか?
まず廃液の成分と固形分濃度・粒径分布を把握することが出発点です。
次に、前処理(沈降濃縮・凝集沈殿)でスラリーを均質化し、フィルタープレスで脱水する2段構成が基本です。廃棄物中に有価物が含まれる場合は、後処理(乾燥・選別)を加えます。
入荷廃棄物の性状がロットによって異なる場合は、複数の条件でテストを行い、それぞれに対応できる仕様を設計します。
Q:フィルタープレスと遠心分離機はどちらが廃液処理に向いていますか?
処理する廃液の性状と目標含水率によって選ぶべき機種が変わります。
フィルタープレスは含水率50〜70%まで脱水でき、遠心分離機(70〜85%)やベルトプレス(85%以上)より含水率を低く抑えられます。混合廃液のように粒径が不均一なスラリーでも対応しやすく、廃棄物の産廃コスト削減を重視するなら有効な選択肢です。
一方、大量の液体を高速で処理したい場合や、処理物の形状がケーキより液体に近い場合は遠心分離機が適することがあります。スラリーの実測データを取ってから比較することをお勧めします。