「カタログのスペックを信じて導入したが、思っていた性能が出なかった」——フィルタープレスの導入現場でよく聞く後悔です。
その原因のほとんどは、処理するスラリーの性状に合わせた検証を導入前に行わなかったことにあります。
この記事では、マキノが導入前に必ず実施する「ラボテスト」で何がわかるのか、そのデータが投資判断にどう役立つのかを具体的に解説します。

なぜカタログスペックだけでは不十分なのか

フィルタープレスは、処理するスラリー(液体に微細な固体が混じったドロドロの液体)の性状によって、最適な設計がまったく異なります。
同じ「汚泥脱水」という用途でも、スラリーの粒子径・粘度・pH・温度・固形分濃度によって、適切な圧力・ろ布(液体だけを通して固体を堰き止める特殊なフィルター)の素材と織り方・サイクル時間が変わります。

カタログに記載されているスペックは、あくまでも標準的な条件下での参考値です。
御社の現場で発生するスラリーが「標準的」である保証はどこにもありません。
特に化学・半導体・食品・リサイクル分野では、スラリーの性状が複雑で、カタログ値から大きく外れるケースが珍しくありません。

導入後に「含水率(分離後の固形分に残る水分の割合)が目標値に届かない」「ろ布がすぐ詰まる」「サイクルタイムが長すぎる」——こうしたトラブルが起きてから対処するのは、時間もコストも余計にかかります。
これらを防ぐ最も確実な方法が、導入前のラボテストです。

ラボテストで何がわかるのか

マキノでは、愛知県常滑市の本社ラボにて、お客様からお預かりした実際のスラリーサンプルを使ったろ過テストを実施しています。
ラボテストで得られる情報は、大きく4つあります。

最適な圧力設定

フィルタープレスの脱水性能を左右する最も重要なパラメータが圧力です。
高圧をかければ必ず含水率が下がるわけではなく、スラリーの粒子径や圧縮性によって「効果的な圧力の上限」が存在します。

ラボテストでは複数の圧力条件(例:0.4MPa・0.7MPa・1.0MPa・1.5MPa)で実測し、「どの圧力で最も効率よく脱水できるか」を数値で特定します。
大気圧の約15倍に相当する圧力(1.5MPa)での圧搾が可能なMDFシリーズも、すべてのスラリーに最大圧力が最適とは限りません。
スラリーに合った圧力設定が、装置の長寿命化とランニングコスト削減にも直結します。

含水率の実測値と産廃コスト削減額の試算

ラボテストで得られた含水率の実測値をもとに、年間の産廃処理コスト削減額をその場でシミュレーションできます。
含水率が5%下がれば、年間の汚泥重量が数百トン単位で減り、処理単価を仮に2万円/tとすれば年間数百万円規模のコスト削減につながります。
「この装置を導入すると何年で投資を回収できるか」という具体的な数字が、経営判断の根拠になります。

最適なろ布の選定

ろ布はフィルタープレスの性能を決める最も重要な消耗品です。
素材(ポリプロピレン・ポリエステル・ナイロンなど)と織り方(モノフィラメント・マルチフィラメント・ニードルフェルトなど)の組み合わせは数十種類にのぼり、スラリーの粒子径と粘度によって最適解がまったく異なります。
ラボテストでは複数のろ布を試し、ろ液の清澄度・ろ過速度・ケーキの剥離性を実測して最適なろ布を特定します。

適切なサイクル時間の設定

1サイクルあたりのろ過時間・圧搾時間・ブロー時間の最適な組み合わせを、実測データから導き出します。
サイクル時間が長すぎると1日あたりの処理量が減り、短すぎると含水率が上がります。
御社の月間処理量と稼働シフトに合わせた最適なサイクル設計が、装置の選定基準にもなります。

ラボテストの流れ

マキノのラボテストは、以下の手順で進みます。

まず、お客様からスラリーサンプルをお送りいただきます。
量の目安は最低でも数リットル以上が必要ですが、詳細はお問い合わせ時にご案内します。
次に、常滑本社ラボでサンプルの性状分析(粒子径・粘度・pH・固形分濃度)を実施します。
その結果をもとに、複数の圧力条件・ろ布の組み合わせでろ過テストを行います。
最後に、含水率・ろ過速度・最適圧力・推奨ろ布を記載した技術開発レポートをご提出します。
このレポートが、機種選定と投資判断の根拠になります。

「高圧が正解」ではない 一品一様の設計思想

マキノが大切にしているのは、「高圧は武器だが、常に最大圧力が正解ではない」という考え方です。
スラリーの粒子径・粘度・温度を見極め、圧力・ろ布・サイクル時間を一品一様に設計することが、マキノが提供する本質的な価値です。

高圧をかけすぎると、圧縮性の高いスラリーではケーキ層が圧密されてろ過抵抗が上がり、かえって効率が落ちることがあります。
また、ろ布への負荷が増して寿命が縮み、ランニングコストが上がります。
ラボテストで「最適な圧力の上限」を特定することが、長期的なコスト最小化につながります。

ラボテストが「過剰投資」を防ぐ

ラボテストには、もう一つ重要な役割があります。
「大は小を兼ねる」という発想で必要以上に大きな装置を選ぶことを防ぐことです。

月間処理量・稼働シフト・目標含水率をラボデータと照合することで、御社の現場に本当に必要な「最小・最適サイズ」を特定できます。
過剰スペックの装置は初期投資(CAPEX)が膨らむだけでなく、エネルギーコストや保守費用(OPEX)も上がります。
ラボテストは「投資の確信を得る」ためだけでなく、「無駄な投資を防ぐ」ためのプロセスでもあります。

まずサンプルをお送りください

「本当にこの装置で目標の含水率が出るのか確信が持てない」
「導入コストに見合う効果があるか数字で示してほしい」
「難ろ過性のスラリーでどこまで対応できるか知りたい」

その答えは、カタログではなくデータが出します。
愛知県常滑市の本社ラボで、御社のスラリーを実際に使ったろ過テストを実施します。
含水率・ろ過速度・最適圧力の実測値と、産廃コスト削減額のシミュレーションをセットでご提示します。

まずはサンプルをお送りください。データが、最初の答えになります。

ラボテスト・お問い合わせはこちら →

FAQ|よくある質問

Q:ラボテストにはどのくらいの費用と期間がかかりますか?


費用・期間はスラリーの性状や試験条件によって異なります。
まずはお問い合わせフォームよりスラリーの概要(業種・処理対象・大まかな性状)をお伝えください。
内容を確認したうえで、必要なサンプル量・期間・費用についてご案内します。導入検討の初期段階からご相談いただけます。

Q:ラボテストの結果、フィルタープレスが適さないと判断されることはありますか?


あります。スラリーの性状によっては、フィルタープレス以外の固液分離方式の方が適切な場合があります。
その場合もテスト結果と理由を正直にお伝えし、代替技術についての情報もご提供します。
「売るために勧める」のではなく、「データが示す最適解を提示する」ことがマキノの姿勢です。

Q:現在使っている装置で含水率が改善しない場合もラボテストで原因がわかりますか?


はい、対応可能です。現在の装置での含水率・圧力設定・ろ布の種類をお知らせいただいたうえでサンプルをお送りいただければ、「現状の設定がスラリーに対して最適かどうか」を検証できます。
圧力設定の見直しやろ布の変更だけで改善できるケースも多くあります。
装置の更新を検討する前に、まずラボテストで現状の改善余地を確認することをお勧めします。