「スペースがないから導入できない」と、フィルタープレスの検討を止めてしまっていませんか。
実は設置面積の問題は、フィルタープレスそのものの限界ではなく、標準仕様を前提にした設計の思い込みから生まれていることがほとんどです。
この記事では、既設ラインへの後付け導入を前提に、省スペースを実現するための設計上の考え方と、具体的な進め方を解説します。
省スペース導入の壁はどこにあるのか
フィルタープレスの導入検討を始めた設備担当者が最初につまずくのが、設置スペースの確保です。
カタログに記載された標準機の外形寸法を見て「うちの工場には入らない」と判断してしまうケースが非常に多く見られます。
しかし、標準機のサイズはあくまで汎用的な用途を想定したものであり、現場の制約を反映したものではありません。
フィルタープレスは、液体に微細な固体が混じったドロドロの液体(スラリー)の性状、つまり粒径・粘度・温度・処理量に応じて、プレート枚数や本体長さが決まる精密な分離システムです。
必要な処理能力が同じでも、スラリーの性状と設置条件を同時に考慮することで、本体サイズを大幅に変えられる場合があります。
「スペースがない」という悩みの本質は、スペース不足ではなく、現場に合わせた設計の余地が検討されていないことにあります。
後付け導入で直面しやすい3つの制約と対策
既設ラインへの後付けには、新設とは異なる制約が重なります。
現場でよく挙がる制約を3つに整理し、それぞれの対策の考え方を示します。
① 床面積の制約
工場内の空きスペースが限られている場合、フィルタープレスの配置を縦置きや高さ方向の活用に切り替えることで、フットプリントを抑えられることがあります。
また、本体の向きを変えて搬出方向を既存の動線に合わせる設計変更も有効です。
マキノでは一品一様設計を基本としており、プレート枚数や本体フレームの長さを現場の制約に合わせて調整することが可能です。
② 高さ制限
天井高が低い工場では、液体だけを通して固体を堰き止める特殊なフィルター(ろ布)の交換作業や、ケーキ(脱水後の固形物)の排出スペースが問題になります。
この場合、排出口の角度変更やケーキ受けの形状を現場に合わせてカスタマイズすることで、高さ方向の干渉を解消できます。
③ 既設配管・電気設備との干渉
後付けでは既存の配管ルートや電気盤の位置が固定されているため、接続口の位置を標準仕様から変更する必要が生じます。
マキノでは接続口の位置やポンプの配置も設計段階で調整しており、既設設備との干渉を事前に確認しながら設計を進めます。
省スペース設計はスラリーの性状から始まる
省スペースでフィルタープレスを導入するうえで、最初に行うべきことはスペースの測定ではありません。
処理するスラリーの性状を正確に把握することです。
フィルタープレスのサイズはプレート1枚あたりのろ過面積と枚数で決まります。
必要な枚数は、1バッチあたりの処理量と分離後の固形分に残る水分の割合(含水率)の目標値によって変わります。
粘度が高く脱水しにくいスラリーは、大気圧の約15倍に相当する圧力(1.5MPa)での圧搾を前提に設計することで、同じ枚数でも含水率を大幅に下げられます。
つまり、スラリーの性状を正確に把握し、最適な圧力・ろ布・サイクル時間を設計することが、結果として本体を小型化する近道になります。
マキノでは、現場から送ってもらったスラリーのサンプルをもとにラボテストを実施し、最適な設計条件を導き出すプロセスをとっています。
この一品一様設計の考え方が、「現場に合わせた省スペース化」を実現する技術的な根拠となっています。
納入実績6,000例以上の中には、既設ラインへの後付けや狭小スペースへの設置案件も多数含まれており、現場固有の制約に向き合ってきた経験が設計に蓄積されています。
シリーズ選定が省スペース化に直結する
マキノのフィルタープレスには複数のシリーズがあり、処理能力・自動化レベル・設置スペースの観点で選択肢が異なります。
後付け・省スペース導入を検討するうえで、シリーズ選定は非常に重要な判断になります。
MDFシリーズ(全自動タイプ)
ろ布の洗浄・ケーキ排出・再起動までを自動で行います。
自動化による省人化を優先しつつ、設置スペースを既設ラインの条件に合わせてカスタマイズしたい場合に適しています。
MDFWシリーズ(圧搾式・含水率最重視)
処理量は同じでも含水率を下げることで産廃として搬出する固形物の重量を減らせるため、搬出頻度・産廃コストの削減を目的とする場合に有効です。
含水率が5%下がると年間数百トン単位の重量削減につながり、産廃処理費を約2万円/tと想定すると年間数百万円の削減になります。
DMSシリーズ(半自動・コスト重視)
初期投資を抑えながら後付け導入したい現場に向いています。
小型・シンプルな構成のため、スペースに制約のある現場でも導入しやすい選択肢です。
WAP型(水圧圧搾+空気乾燥)
水圧圧搾と空気乾燥を組み合わせた特殊機で、含水率70%という高水準の脱水性能を実現します。
処理量と設置スペースのバランスを考えながら、特定用途での高性能化を目指す場合に検討します。
後付け導入の進め方と期間の目安
後付け導入を進めるうえで、多くの担当者が気にするのは「どれくらいの期間がかかるのか」という点です。
マキノでは最短1ヶ月の短納期対応を実現しており、既設ラインの稼働スケジュールに合わせた納期設定が可能です。
導入の流れは大きく4つのステップで進みます。
① 現場確認とスラリーサンプルの採取
設置スペースの採寸・既設設備の配置確認・配管ルートの確認を行い、同時にスラリーのサンプルをマキノのラボに送付します。
② ラボテストと設計条件の確定
スラリーの性状に基づいた最適な設計条件(圧力・ろ布材質・プレート枚数・サイクル時間)を決定し、現場の設置スペースに合わせた本体寸法を確定します。
③ 製作と設置工事の調整
マキノは愛知県常滑市の自社工場で製作するため、設計変更への対応も含めたフレキシブルな生産スケジュールが組めます。
設置工事は既設ラインの停止期間を最小化する段取りで進めます。
④ 試運転と調整
実際のスラリーを使って動作確認を行い、含水率の目標値が達成されているかを確認します。
稼働開始後の定期メンテナンスについても、1932年の創業以来積み上げてきたサービス体制でサポートします。
「スペースがない」は相談の入り口にしてください
「スペースがないから難しいだろう」という前提で相談をためらっている担当者は少なくありません。
しかし、マキノに寄せられる問い合わせの多くは、まさにその「難しい条件」から始まっています。
精密な分離システムとしてのフィルタープレスは、スラリーの性状と設置条件を同時に考慮した設計があってこそ、その性能を発揮します。
現場に最適な省スペース設計は、標準カタログの寸法からは見えてきません。
産廃コストの削減額を試算すると、含水率の目標値と投資回収期間が具体的な数字として見えてきます。
多くのケースでは産廃コスト削減額次第で1〜3年での投資回収を実現しており、後付け導入であっても経済合理性を数値で確認できます。
自己資本比率56.4%(東京商工リサーチ優良企業A評価)という財務健全性を背景に、長期的なサポート体制を維持していることも、導入後の安心につながります。
適切なメンテナンスを前提とすれば20〜30年の稼働が見込めるため、後付け導入であっても長期的な視点でのコスト評価が成立します。
FAQ|よくある質問
Q:既設ラインの改修なしにフィルタープレスを後付けできますか
配管接続口の位置や電気工事の範囲によって異なりますが、スラリーの送液ポンプと排出口の設計をカスタマイズすることで、既設配管への接続を最小限の改修で行えるケースは多くあります。まず現場の採寸と配管ルートの情報をご共有いただければ、設計上の可否と改修範囲の概算をお伝えできます。
Q:省スペース設計にするとコストや性能は落ちますか
スラリーの性状に合わせてプレート枚数・圧力・ろ布材質を最適化するため、本体を小型にしても処理性能が落ちることはありません。フィルタープレスの脱水後の含水率は50〜70%を実現しており、遠心分離機(70〜85%)やベルトプレス(85%以上)と比較しても高い脱水性能を維持できます。コストについては、標準機から大きく外れるカスタム設計より、現場に適した設計のほうが余分な設備コストを抑えられる場合もあります。
Q:後付け導入の投資回収期間の目安はどれくらいですか
産廃処理費の削減額によって変わりますが、多くのケースで1〜3年での投資回収を実現しています。含水率が5%下がると年間数百トン単位の固形物重量が削減され、産廃処理費を約2万円/tと想定すると年間数百万円の削減につながります。現場の処理量・現状の含水率・産廃単価をご提供いただければ、より具体的な試算が可能です。
現場の数値を一緒に試算しましょう
「スペースはこのくらい」「今の含水率はこのくらい」という現状の数字だけでも、導入可能性と削減効果の大枠は見えてきます。
マキノでは、現場の条件をヒアリングしながら設置スペース・処理能力・産廃コスト削減額の概算を無料でお伝えしています。
後付け導入に課題を感じている方は、まず数値ベースの確認から始めてみてください。
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