産廃処理費の請求額が毎月変わらず、削減策を講じても効果が出ない、という声は製造現場の環境担当者から繰り返し聞かれます。
その原因の多くは、排出量の管理ではなく、廃棄物の「含水率(分離後の固形分に残る水分の割合)」の見直しが手つかずのまま放置されていることにあります。
この記事では、含水率が産廃重量にどう影響するか、そして脱水性能をどう評価すれば処理費削減につながるかを具体的な数値とともに整理します。

産廃処理費はなぜ「重量課金」なのか

産業廃棄物の処理委託費用は、原則として廃棄物の重量(トン数)をベースに算定されます。
汚泥(工場から排出される泥状の廃棄物)を例にとれば、処理単価はおよそ2万円前後が目安とされており、年間排出量が多い現場では合計費用が数千万円規模になることもあります。

ここで重要なのは、重量の中に「水分」が含まれているという事実です。
汚泥の含水率が高いままであれば、固形物は同量でも処理費用は増え続けます。
つまり、産廃処理費の削減を考えるとき、発生量そのものを減らすことと同等以上に、廃棄物に含まれる水分をどれだけ除去できるかが問われます。

多くの現場では「発生量はコントロールできない」という前提で費用圧縮を諦めていますが、脱水性能の改善は発生プロセスを変えずに実現できる数少ないアプローチです。
処理費の請求書に記された重量の内訳を、一度「固形分」と「水分」に分けて見直してみることが、削減の第一歩になります。

含水率が1ポイント変わると重量はどれだけ変わるのか

含水率と廃棄物重量の関係は、想像以上に大きな差を生みます。

たとえば、含水率80%の汚泥が年間1,000トン発生している現場を考えます。
このうち固形分は200トン、残り800トンが水分です。
ここで含水率を75%に下げると、同じ固形分200トンを処理するために必要な汚泥全体の重量は800トンになります。
つまり200トン、金額換算で約400万円の処理費削減が見込めます。

さらに含水率が70%まで下がると、廃棄物全体は約667トンとなり、削減量は333トン超、約666万円相当の差になります。

含水率5ポイントの改善で、年間数百トン単位の重量削減と年数百万円規模のコスト圧縮が現実の範囲内に入ってきます。
この数字を見れば、含水率管理が「環境担当者の課題」ではなく「経営上の投資テーマ」であることが分かります。
現場での含水率測定と、その結果のコスト換算を定期的に行っている工場は、削減余地を可視化できているため、設備投資の判断も速くなります。

脱水機の性能比較で見えてくるコスト格差

現在稼働している脱水機の種類によって、到達できる含水率の下限は大きく異なります。
一般的な比較を示すと、遠心分離機では70〜85%、ベルトプレスでは85%前後が目安とされています。
これに対してフィルタープレス(加圧ろ過式の脱水機)では、汚泥の種類にもよりますが、60%程度まで含水率を下げることが可能です。

フィルタープレスの仕組みは、スラリー(液体に微細な固体が混じったドロドロの液体)をろ布(液体だけを通して固体を堰き止める特殊なフィルター)に通して加圧し、ケーキ層(ろ布の表面に積み重なる固体の層)として固液分離するものです。
加圧力が高いほどケーキ層から水分が絞り出され、含水率が下がります。
株式会社マキノの装置では最大1.5MPaの高圧圧搾技術を採用しており、他方式との含水率差がそのままコスト格差に直結します。

現在ベルトプレスや遠心分離機を使っている現場が、フィルタープレスに切り替えることで含水率を15〜35ポイント改善できる場合、処理費の削減額は年間数百万円から場合によっては1,000万円を超えることもあります。
設備投資の回収期間は産廃コスト削減額次第ですが、1〜3年で回収できるケースも少なくありません。

現場で見落とされやすい3つの管理ポイント

含水率と処理費のつながりを理解していても、現場の運用で見落とされやすいポイントが3つあります。

ポイント① 含水率の定期測定が行われていない

脱水後のケーキを目視で判断している現場は多いですが、目視では含水率の変化を正確に捉えられません。
定期的に重量測定・乾燥前後の差を記録するだけでも、ろ布の劣化や設定圧力の低下を早期発見できます。

ポイント② ろ布のメンテナンスが後回しになっている

ろ布は消耗品であり、目詰まりや破損が進むと脱水性能が著しく落ちます。
含水率が徐々に上がっているにもかかわらず、ろ布交換のサイクルが年1回に固定されているような現場では、知らないうちに処理費が増加しています。

ポイント③ スラリーの性状変化への対応が遅れている

原料や工程が変わるとスラリーの粒径・粘度・固形分濃度が変化し、同じ設定では脱水性能が出なくなることがあります。
処理量や原料が変わったタイミングで設定を見直す仕組みがない現場は、性能低下に気づかないまま運転を続けてしまいます。

脱水性能を引き出すためにできること

脱水性能の改善は、機器の更新だけでなく既存設備の運用見直しからも始めることができます。

まず取り組めるのは、現在の含水率測定の定例化です。
月1回でも数値で記録することで、季節変動や原料変化による影響が見えてきます。
次に、ろ布の状態確認と洗浄・交換サイクルの適正化です。
目詰まりが進んだろ布を使い続けることは、電力消費の増加と含水率悪化の両方につながります。

設備の選定や更新を検討する段階では、スラリーの粒径・粘度・温度・固形分濃度を正確に把握したうえで、それに適した脱水機を選ぶことが重要です。
株式会社マキノでは創業1932年以来、6,000例以上の納入実績の中で積み上げてきた一品一様設計の知見をもとに、スラリーの性状を丁寧に確認しながら最適な装置仕様を提案しています。
フィルタープレス単体の提案にとどまらず、粉砕・乾燥を含めた一貫プロセスとして提案できることも、現場の課題を根本から解決するうえで強みになっています。

まとめ

産廃処理費が下がらない現場には、含水率の管理が数値化されていないという共通点があります。
含水率5ポイントの改善が年間数百トンの重量削減と数百万円のコスト削減につながる事例は、特殊なものではありません。
脱水機の性能比較、ろ布の管理、スラリー性状の定期確認、この3点を見直すことが、処理費削減の現実的な起点になります。

FAQ|よくある質問

Q:現在のベルトプレスをフィルタープレスに変えた場合、どれくらい含水率が改善しますか


スラリーの種類によって異なりますが、ベルトプレスが85%前後の含水率であるのに対し、フィルタープレスでは50〜70%程度まで改善できるケースがあります。
差が15〜35ポイントになる場合、年間の産廃処理費削減額は数百万円から1,000万円超に達することもあります。
詳しくはスラリーの性状を確認したうえでご案内します。

Q:設備投資の回収期間はどれくらいを見込めばよいですか


産廃処理費の削減額によって変わりますが、年間削減額が大きい現場では1〜3年での回収を実現している事例があります。
処理単価(約2万円/t)と現在の年間排出重量、想定含水率改善幅を組み合わせると、投資回収期間の概算を試算できます。

Q:含水率の測定は特別な機器がないとできませんか


簡易的な方法であれば、脱水後のケーキを一定量取り出し、乾燥前後の重量差を計算することで含水率を推計できます。
精度の高い管理には専用の水分計が有効ですが、まずは定期的に重量を記録する習慣を持つだけでも、性能変化の傾向を把握することができます。

同じ悩みを持つ現場の話を聞かせてください

産廃処理費が思うように下がらない、現在の脱水機の性能に限界を感じている、含水率をどう管理すればよいか分からない。
そんな状況にある方のご相談をお待ちしています。

スラリーの性状や現在の処理フローを確認しながら、御社の現場に合った改善の方向性を一緒に考えます。

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