フィルタープレスの導入を検討しているものの、「実際いくらかかるのか」「ランニングコストはどれくらい見ておけばよいのか」と、費用感がつかめずに前に進めない担当者の方は少なくありません。
その背景には、フィルタープレスが機種・サイズ・自動化レベルによって仕様が大きく異なり、一概に「○○万円」と示せない機器であるという事情があります。
この記事では、初期費用に影響する要素からランニングコストの内訳、産廃コスト削減を踏まえた投資回収の試算まで、費用の全体像を整理します。

フィルタープレスの初期費用に影響する3つの要素

フィルタープレスの初期費用は、主に「機種・サイズ」「自動化レベル」「付帯設備の範囲」の3つによって変わります。
この3点を理解しておくと、見積もりを取る際の比較軸が明確になります。

第一に、機種とサイズです。
手動開板式の小型機(MSASシリーズ)から、高速自動化対応のCAFシリーズや圧搾式のMDFWシリーズまで、フィルタープレスの機種は処理能力や脱水性能によって多岐にわたります。
処理するスラリーの量が多くなるほど、また含水率の要求値が厳しくなるほど、機器本体のコストは上がる傾向があります。

第二に、自動化レベルです。
全自動タイプ(MDFシリーズ)は人手をほとんど要しない反面、初期費用は高くなります。
半自動タイプ(DMSシリーズ)はその中間で、コストと省力化のバランスを重視する工場向きです。
手動タイプは初期投資を抑えられますが、オペレーターの稼働コストが継続的に発生します。
自動化レベルの選択は、初期費用とランニングコストのトレードオフを見極めることが重要です。

第三に、付帯設備の範囲です。
フィルタープレス本体だけでなく、スラリーを供給する送液ポンプ、ケーキを搬出するコンベア、洗浄設備、制御盤などをセットで導入するかどうかで、総費用は大きく変わります。
また、既存設備との接続工事や据付費も初期投資の一部として見ておく必要があります。
マキノでは、フィルタープレス単体の提供にとどまらず、粉砕・乾燥も含めた一貫プロセスの設計・提案に対応しています。

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ランニングコストの内訳と年間費用の目安

導入後に継続的に発生するランニングコストの主な内訳は、「ろ布交換費用」「電力費」「定期メンテナンス費」の3つです。

ろ布は消耗品であり、処理するスラリーの性状や稼働頻度によって交換サイクルが変わります。
ろ布の品種選定が適切であれば交換頻度を抑えられますが、スラリーに合わない素材を使い続けると破損や目詰まりが早まり、かえってコストが増します。
初期の仕様設計段階でスラリーの粒径・粘度・温度に合わせたろ布を選定することが、ランニングコスト低減の第一歩です。

電力費は、圧搾ポンプや攪拌機の消費電力に左右されます。
処理量が多い工場ほど電力コストの割合が大きくなるため、エネルギー効率の良い機種・設計の選択が重要です。
1.5MPaの高圧圧搾技術を採用する機種では、高い脱水性能を短時間で実現できるため、サイクルタイムが短縮されて電力の無駄が生じにくくなります。

定期メンテナンスについては、適切なメンテナンスを継続することで、フィルタープレスは20〜30年の長期稼働が可能です。
メンテナンスを怠ると部品の摩耗が加速し、想定外の修繕費が発生します。
導入時にメンテナンス体制を整えておくことが、長期的なコスト管理につながります。

投資回収期間の目安(産廃コスト削減との試算)

フィルタープレス導入の費用対効果を考える際、最も直接的な指標となるのが「産廃処理コストの削減額」です。
脱水ケーキの含水率を下げることで重量が減り、産廃処理費を大幅に抑えられます。

具体的な試算の考え方を示します。
含水率を5%低下させると、年間数百トン単位での重量削減につながります。
産廃処理費の目安を約2万円/tとすると、年間数百万円規模のコスト削減が見込める計算です。
この削減額をもとに試算すると、投資回収期間は1〜3年のケースが多くなります。

もちろん、処理量・現状の含水率・産廃処理の単価によって回収期間は変わります。
試算を正確に行うためには、現状の脱水ケーキの発生量と含水率、産廃処理費の実績値を把握したうえで、機種ごとの達成含水率と照らし合わせることが必要です。
マキノでは、お客様の現状データをもとに試算を含めた提案を行っています。

また、産廃コストの削減以外にも、脱水後のケーキを資源として再利用できる場合や、輸送コストの削減効果が生まれる場合もあります。
これらを総合的に評価すると、ROIはさらに改善することがあります。

費用対効果を最大化する選び方のポイント

フィルタープレスの費用対効果を最大化するには、「初期投資の安さ」だけで機種を選ばないことが重要です。
長期稼働コストと達成できる含水率の両方を見て、トータルコストで比較することが求められます。

まず、スラリーの性状を正確に把握することが前提となります。
粒径・粘度・温度・固形分濃度がわかれば、最適な機種・ろ布・運転圧力を選定できます。
マキノでは創業1932年以来の豊富な実績をもとに、スラリーの性状を見極めた一品一様の設計を行っており、6,000例以上の納入事例が設計の根拠となっています。

次に、自動化の必要性を工場の稼働状況から判断することです。
連続処理に近い生産量が求められる工場にはCAFシリーズのような高速自動タイプが適しており、長期的な人件費削減が初期費用の差を回収します。
一方、処理量が限定的な工場では、DMSシリーズのような半自動タイプで十分な場合もあります。

さらに、含水率の目標値を明確にすることが重要です。
含水率60%達成を目標とする場合には、水圧圧搾と空気乾燥を組み合わせたWAP型が有効な選択肢となります。
目標含水率が曖昧なまま機種を選ぶと、導入後に性能不足が発覚して再設備投資が必要になるリスクがあります。

最後に、耐用年数と保守体制を確認することです。
適切なメンテナンスで20〜30年稼働できる設備は、初期費用を年割りで見ると非常に低い水準になります。
国内にメンテナンス体制が整っているメーカーを選ぶことが、長期にわたる費用の安定につながります。

まとめ

フィルタープレスの費用は、機種・サイズ・自動化レベル・付帯設備の組み合わせによって変わるため、「いくらか」を一概に示すことはできません。
しかし、ランニングコストの内訳を理解し、産廃コスト削減による投資回収の試算を行えば、費用対効果は具体的に評価できます。
含水率5%の改善が年間数百万円規模の削減につながるケースもあり、投資回収期間が1〜3年となる事例は少なくありません。
導入にあたっては、現状のスラリー性状と産廃処理費の実績値を整理したうえで、専門メーカーに相談することをお勧めします。

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FAQ|よくある質問

Q:フィルタープレスの価格はカタログで確認できますか?


フィルタープレスは処理するスラリーの性状や要求される含水率、設置環境によって仕様が変わる一品一様の機器です。
そのため、カタログに一律の価格を記載することが難しく、お見積もりは個別対応となります。
処理量・スラリーの性状・目標含水率などの情報をご用意いただくと、より具体的なご提案が可能です。

Q:ランニングコストで最も大きな割合を占めるのは何ですか?


工場の稼働状況によって異なりますが、多くのケースでろ布交換費用と電力費が主要なランニングコストとなります。
ろ布はスラリーの性状に合った品種を選定することで交換頻度を抑えられます。
また、1.5MPaの高圧圧搾で短サイクルの運転が実現できると、電力の使用効率も向上します。
導入前の仕様設計の精度が、長期的なランニングコストに直結します。

Q:投資回収までの期間をあらかじめ試算することはできますか?


現状の脱水ケーキの発生量・含水率・産廃処理費の単価がわかれば、導入後の削減額を試算することができます。
含水率を5%低下させた場合の重量削減と産廃処理費(目安:約2万円/t)をもとに計算すると、投資回収が1〜3年となるケースが多くなります。
マキノでは、お客様の現状データをもとにした試算を提案の中でご提示していますので、お気軽にご相談ください。

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