茶葉エキスや抹茶の固液分離工程では、品質管理担当者が必ずぶつかる壁があります。
「洗浄のたびに分解に時間がかかる」「ろ材の交換で菌が入り込まないか不安」「スチームで機械ごと洗えない」という問題です。
食品工場の脱水装置には、脱水性能と同じ重みで衛生設計が問われます。MSASシリーズは、その両方を一台に備えたマキノのサニタリー仕様シートフィルタです。
茶葉エキスの固液分離で衛生管理が難しい理由
茶葉や抹茶を原料とするエキスの製造工程は、固液分離(スラリーから液体と固体を分ける操作)が品質の要になります。
茶葉エキスのスラリーは有機成分を豊富に含み、常温放置するだけで雑菌の温床になりやすい性質があります。ろ過装置の内部に液が残れば、次のバッチで品質汚染のリスクを抱えます。
また、飲料・食品の製造ラインは1日複数バッチが基本です。バッチが変わるたびに装置を分解・洗浄・組み立てる必要があり、その工数が生産効率を圧迫します。
さらに、蒸気や高温水で機械ごと洗浄するCIP(定置洗浄)・SIP(定置殺菌)への対応が求められる現場も増えています。これらに耐えられない装置は、洗浄方法を使い分けるか、装置を丸ごと交換するしかありません。
「衛生的に分解・洗浄・組立できる」「高温洗浄に耐えられる」「ろ材交換が容易で異物混入リスクを最小化できる」という3つの要件を同時に満たすことが、食品工場向け脱水装置の設計における核心です。
MSASシリーズの衛生設計 3つの構造的特徴
工具不要の分解・洗浄・組立
MSASシリーズはサニタリー継手(工具を使わずに手で着脱できる衛生規格の継手)を採用しています。
従来の産業用フィルタープレスではスパナやボルト作業が必要な箇所を、レバーを回すだけで分解・組立できる構造にしています。
この設計によって、洗浄工程での作業時間が短縮されます。急いで組み立て直す場面でも、部品の締め忘れや組み間違いが起きにくくなるため、衛生リスクを下げる効果も期待できます。
作業者が交代しても同じ手順で分解・組立できることは、品質管理の観点から見ても重要です。
蒸気・高温水・薬品による機械洗浄への対応
MSASシリーズの機械本体はステンレス製です。蒸気・高温水・各種薬品による洗浄に対応しており、CIP・SIPが求められる食品工場の洗浄規程に組み込むことができます。
樹脂製フレームやゴム製パッキンが多用されると、高温洗浄で変形・劣化が進み、汚れが滞留する隙間が生まれやすくなります。ステンレス製本体とサニタリー継手の組み合わせは、こうした滞留リスクを構造ごと排除する考え方に基づいています。
コーナーフィード採用で容易なろ材交換
ろ布(液体だけを通して固体を堰き止める特殊なフィルター)の交換頻度と交換作業の難易度は、運用コストと衛生管理の両方に影響します。
MSASシリーズはコーナーフィード方式(スラリーをフィルターの四隅から均一に供給する構造)を採用しています。ろ材全面に均等に圧力がかかるため、ろ材の偏摩耗が抑えられます。交換作業についても、ろ材を引き抜いて新しいものを差し込む操作がしやすい構造になっており、交換時間の短縮と作業ミスの低減につながります。
茶葉エキスへの適用と機種ラインナップ
MSASシリーズは醸造(清酒・みりん・醤油)や果汁・寒天・食用油の固液分離に実績のあるシリーズです。茶葉エキスや抹茶の処理は「各種エキス」「飲料・食品」の領域として対応しています。
機種は処理規模に合わせて2タイプを揃えています。
MSAS400は、ろ過面積0.8〜1.6平方メートルのコンパクトタイプです。試験製造ラインや少量多品種の生産工程、既存設備の補完用途に適しています。
MSAS470は、ろ過面積1.4〜2.8平方メートルと処理量を拡大したタイプです。本格的な量産ライン、または複数バッチを安定して回す中規模工場での使用を想定しています。
どちらも手動操作タイプのシートフィルタであり、操作がシンプルなぶん導入しやすく、設備担当者が工程をコントロールしやすいという特性があります。
食品工場でサニタリー仕様が問われる背景
食品安全規格のHACCP(食品中の危害要因を科学的に管理するアプローチ)が制度化されて以来、食品工場では設備の衛生設計そのものが監査対象になっています。
「洗浄できる構造か」「洗浄の記録が取れるか」「汚染経路がないか」という視点から設備が評価されます。サニタリー仕様は「あれば理想的」ではなく、認証維持・監査対応の必要条件になりつつあります。
加えて、食品工場での製造品目の多様化が進んでいます。緑茶・ほうじ茶・抹茶・ブレンドティーなど、品目ごとに切り替えが必要な工場では、切り替えのたびに完全洗浄が求められます。工具不要の分解・組立構造は、こうしたマルチ品目対応の現場で稼働効率の向上に直結します。
マキノは1932年創業以来、醸造・飲料・食品分野への納入実績を積み重ねてきました。納入実績6,000例以上という数字は、それだけの現場スラリーと向き合ってきた知見の蓄積を意味します。
一品一様設計で個別処理条件に対応
茶葉エキスと一口に言っても、緑茶・ウーロン茶・紅茶・抹茶では固形分の粒径・粘度・溶出成分が異なります。季節や産地、抽出条件によってスラリーの性状が変わることも珍しくありません。
マキノでは、スラリーサンプルを受け取ってラボでろ過試験を行うところから仕様設計を始めます。粒径・固形分濃度・温度・pH・目標ろ液清澄度を確認し、ろ材の種類と目開き(メッシュ)、圧力条件、サイクル時間を決定します。
「カタログを見て機種を選んでから現場に合わせる」ではなく、「現場スラリーの性状を先に把握して仕様を後から決める」というプロセスが、食品工場での安定稼働につながります。
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まとめ
食品工場での茶葉エキス脱水は、脱水性能と衛生設計の両立が不可欠です。MSASシリーズは、ステンレス製本体・工具不要のサニタリー継手・蒸気および高温水・薬品洗浄への対応・コーナーフィードによるろ材交換性の4点を組み合わせた構造で、食品工場の洗浄規程に組み込める設計になっています。
MSAS400とMSAS470の2機種が用途・処理量に応じた選択肢を提供しており、醸造・飲料・エキス製造の現場への納入実績を持ちます。スラリーサンプルを起点にしたラボ試験から仕様選定を始めることで、茶葉エキスの個別処理条件にも対応できます。
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FAQ|よくある質問
Q:MSASシリーズはCIP・SIPに対応していますか?
対応しています。ステンレス製の機械本体と、サニタリー継手の組み合わせによって、蒸気・高温水・薬品による機械洗浄に耐えられる設計になっています。
食品工場で求められる洗浄規程に組み込む際は、使用する薬品の種類や洗浄温度・時間を事前にお知らせください。仕様確認のうえ対応可否をお伝えします。
Q:MSAS400とMSAS470の選び方の目安を教えてください。
1日の処理量と生産サイクルの頻度が選定の基準になります。少量多品種・試験製造・補完用途ならろ過面積0.8〜1.6平方メートルのMSAS400が候補になります。複数バッチを安定して回す本格量産ラインや、処理量拡大を見込む場合はろ過面積1.4〜2.8平方メートルのMSAS470が向いています。
実際の選定はスラリーの固形分濃度・処理時間・目標含水率をもとにラボ試験で確認するため、まずスラリーサンプルをお送りいただくことをお勧めします。
Q:茶葉エキス以外の飲料・食品エキスにも対応できますか?
対応できます。MSASシリーズは醸造(清酒・みりん・醤油)、果汁・寒天・食用油、各種エキスへの納入実績があります。スラリーの性状(粘度・粒径・固形分濃度・pH・温度)が異なれば、ろ材の種類と目開き・圧力条件を個別に設計します。
「この素材に使えるか」という段階でご相談いただける場合は、スラリーの基本情報をお知らせいただくか、サンプルをお送りいただければラボ試験で確認します。






