フィルタープレスの性能を最大化させるために、多くの現場で「ろ布」や「ろ過面積」の検討がなされていますが、実はそれ以上に処理効率を左右するのが「供給ポンプ」の存在です。
ろ過室内にスラリー(液体に微細な固体が混じったドロドロの液体)を押し込む「圧力」と「流量」が不安定であれば、どれほど優れた脱水機本体を導入しても、そのポテンシャルを発揮することはできません。
特に、安価で汎用的なギヤポンプを使用している現場では、知らぬ間に脱水時間の延長や含水率の悪化という形で損失を招いているケースが散見されます。
この記事では、ギヤポンプとマキノ独自の「MDP型ポンプ」を徹底比較し、なぜ供給ポンプ一つで固液分離の成果に大きな差がつくのか、その決定的な理由を解説します。
供給ポンプの選定が「脱水性能」の明暗を分ける物理的理由
フィルタープレスの心臓部である供給ポンプは、単に液体を運ぶだけでなく、ケーキ層(ろ布の表面に積み重なる固体の層)を形成するために必要な「圧入の質」を担保しなければなりません。
ギヤポンプとMDP型ポンプの構造的な違いを紐解くと、製造現場で発生しているトラブルの正体が見えてきます。
1. 摩耗による「吐出圧」の低下:含水率5%の差を生む耐久性
ギヤポンプは、精密に噛み合う歯車同士の隙間をスラリーが通過することで液を送り出します。しかし、研磨性の高い粒子を含むスラリーを扱う場合、この歯車は常にヤスリで削られているような状態にあります。
わずか数ミリの摩耗であっても、ポンプ内部で「液の逃げ(内部漏れ)」が発生し、設定した吐出圧(ポンプが液体を送り出す圧力)を維持できなくなります。
圧入後半で必要な圧力が得られなくなると、ケーキ層の内部に水分が残り、結果として含水率(分離後の固形分に残る水分の割合)が数%上昇します。
マキノのMDP型ポンプは、独自開発の「ピストン非接触構造」により、スラリーが重要な摺動部に直接触れにくい設計となっています。
1.5MPa(大気圧の約15倍)という高圧を長期間安定して出し続けられるため、含水率を常に最小限に抑え、産廃コストの大幅な削減を実現します。
2. 性状変化への適応力:一品一様の圧力制御が「脱水時間」を短縮する
脱水工程は、時間の経過とともにフィルター内部の抵抗(背圧)が急激に高まるという特殊なプロセスです。
ギヤポンプの場合、回転数に比例して一定量を送ろうとしますが、抵抗が高まると逃げが発生し、エネルギー効率が著しく低下します。また、無理な加圧はろ布の目詰まりを誘発し、さらにろ過時間を延ばす原因にもなります。
マキノのMDP型ポンプは、インバータ制御を組み合わせることで、工程のステージに合わせた「理想的な圧入」が可能です。
ろ過初期は低圧で一気にスラリーを送り込み、ろ過後半は高圧でじわじわと水分を絞り出す。この柔軟な制御により、全体のサイクルタイムを10〜20%短縮できた事例も少なくありません。
「機械に合わせて運用する」のではなく、「スラリーの挙動に合わせてポンプが動く」という一品一様設計の思想が、ここで活きてきます。
3. 維持管理費(LCC)の逆転:年数百万円の「隠れた損失」を止める
初期導入コストだけを見れば、ギヤポンプは非常に魅力的な選択肢です。しかし、中長期的な視点でのランニングコスト(LCC)を金額換算すると、評価は一変します。
摩耗が激しい現場では、ギヤポンプは3ヶ月〜半年に一度の分解清掃や部品交換が必要になり、そのたびにライン停止のリスクと部品代、工賃が発生します。
対して、マキノのMDP型ポンプは「壊れにくいこと」を前提に設計されており、本体の期待寿命は20〜30年に及びます。
故障によるダウンタイムの損失を1回あたり数十万円と仮定した場合、わずか1〜3年でMDP型ポンプとの導入差額を回収できる計算になります。
目に見える部品代だけでなく、「止まらないライン」という安心感こそが、最も大きなコスト削減につながるのです。
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まとめ フィルタープレスの性能は「ポンプ」で決まる
「最近、含水率が安定しない」「ポンプの修理ばかりしている」といった悩みがあるなら、それは脱水機本体ではなく、供給ポンプに限界が来ているサインかもしれません。
ギヤポンプとMDP型ポンプの比較から分かる通り、安定した高い吐出圧と精密な制御力こそが、固液分離の品質を支える土台となります。
株式会社マキノは、1932年の創業以来、フィルタープレス本体だけでなく、それを支える供給システム全体を一貫して設計・製造してきました。
信頼に裏打ちされたマキノの技術は、脱水工程を「止まらない、汚れない、コストの低い」精密な分離システムへと進化させます。
供給ポンプの更新は、脱水工程全体のROI(投資回収率)を劇的に改善する最も効果的な一手です。
まずはマキノのラボテストで、MDP型ポンプが貴社のスラリーに対してどれほどの圧入安定性を発揮するか、その目でお確かめください。
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FAQ|よくある質問
Q:既存の他社製フィルタープレスに、マキノのMDP型ポンプだけを導入することは可能ですか?
はい、もちろん可能です。
実際にポンプをMDP型へ更新するだけで、圧入の安定性が向上し、脱水時間の短縮や含水率の改善(5%程度の低下実績あり)を達成した工場が数多くあります。
既存設備の配管条件やモーター容量に合わせて、最適なポンプを選定・提案いたします。
Q:MDP型ポンプのメンテナンスは、専門業者に依頼する必要がありますか?
MDP型ポンプは堅牢な設計となっており、日常の点検は非常にシンプルです。
主要な部品交換も、工場の保全担当者様で実施いただけるレベルの構造を意識しています。
もちろん、より高度なオーバーホールが必要な際は、マキノの熟練スタッフが迅速に伺い、20〜30年と長くお使いいただけるようサポートいたします。
Q:高粘度のスラリーや、粗い粒子が含まれる液体でも問題ありませんか?
MDP型ポンプの「吸込・押上能力」は、ギヤポンプや他のポンプと比較しても非常に強力です。
ギヤポンプでは詰まりの原因となるような高粘度スラリーや、粒径の大きな固形分を含む液体でも、MDP型なら安定して搬送・圧入が可能です。
不安な場合は、ポリタンク1本分(約20L)のサンプルをいただければ、実液によるラボテストで通液性能を確認いたします。






