フィルタープレスを運用する現場で、避けて通れないと諦められがちなのが「スラリー漏れ」による床の汚れや、それに伴う過酷な清掃作業です。
実は、この漏れの根本原因はろ過板同士の「面の合わせ」だけに頼った旧来の構造にあり、特に高圧運転時にはその限界が顕著に現れます。
この記事では、パッキン付きろ過板がどのようにして高いシール性を発揮し、過酷な条件下でも「美しい現場」を維持できるのか、その技術的背景を解説します。

なぜ「フィルタープレスは漏れるもの」という常識が生まれたのか

長年、固液分離の現場において、装置の周囲がドロドロに汚れてしまうのは、ある種「仕方のないこと」とされてきました。
一般的なろ過板は、ポリプロピレンなどの硬質な素材同士を締め付けて密閉しますが、わずかな「反り」や、ろ布の間に挟まった微細な異物によって、どうしてもミリ単位の隙間が生じてしまいます。

特に、含水率を下げるために圧力を高めれば高めるほど、内部のスラリーはわずかな隙間を探して外へと噴き出そうとします。
これが、現場の床を汚し、作業員の転倒リスクを高め、結果として「脱水工程=不衛生で過酷な現場」というイメージを定着させてきた原因です。

MDF・MDFWの両シリーズで実現する「漏れゼロ」の運用

マキノの主力ラインナップである、全自動モデルの「MDFシリーズ」および全自動圧搾モデルの「MDFWシリーズ」。これら両シリーズにおいて、パッキン付きろ過板の採用は現場環境を劇的に変える鍵となります。

  • MDFシリーズ(単純加圧)でのメリット
    長時間の圧入工程で発生しがちな、ろ過板合わせ目からの「ポタポタ」という微細な液だれ(にじみ)を完全に防止します。床面の水浸しを防ぎ、日々の清掃負担を最小限に抑えます。
  • MDFWシリーズ(圧搾式)でのメリット
    1.5MPaという超高圧でケーキを絞り出す際、わずかな隙間からのスラリーの噴き出しをシャットアウトします。高い圧力をかけて含水率を限界まで下げつつ、周囲を一切汚さない安全な運用を可能にします。

「自動機を入れたけれど、結局周りの掃除に追われている」という現場の矛盾を、マキノはパッキン付きろ過板という物理的な回答で解決します。

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スラリーの性質に合わせた「一品一様」の素材選定エビデンス

マキノが提供するパッキン付きろ過板の強みは、そのシール性(密閉力)を支える素材選定の知見にあります。
単一のゴム素材ではなく、スラリーの化学性質や温度、粘度に合わせて最適な材質を使い分ける「一品一様設計」を徹底しています。

  • NBR(ニトリルゴム):一般的な排水や油分を含むスラリーに最適な標準素材。
  • EPDM(エチレンプロピレンゴム):耐熱・耐候性に優れ、高温プロセスでも安定した弾性を維持。
  • フッ素ゴム:強酸・強アルカリや特殊溶剤など、極めて腐食性の高い過酷な環境下で威力を発揮。

納入実績6,000例以上のデータに基づき、パッキンという消耗品の耐久性を極限まで高めることで、装置全体の「20〜30年稼働」という長寿命化を支えています。

美しい現場環境がもたらす「清掃コスト」と「安全性」の劇的変化

スラリーが漏れないことは、単に見た目がきれいになるだけではありません。経営的な視点で見ると、膨大な「隠れたコスト」の削減につながります。
例えば、毎日1時間を要していた装置周辺の清掃作業が不要になれば、年間で約250時間(稼働日250日の場合)もの労働時間を別の生産活動に充てることができます。

また、漏れ出したスラリーが乾燥して粉塵となり、他の精密機械や電子部品に悪影響を及ぼすリスクも排除できます。
特に2026年から施行される廃棄物処理法改正では、化学物質の管理が厳格化されます。
「意図しない漏洩」を防ぐことは、コンプライアンス面でも非常に有効なリスクヘッジとなります。

まとめ「汚れる脱水現場」からの決別

「フィルタープレスは汚れて当たり前」という諦めは、パッキン付きろ過板によって過去のものとなります。
高いシール性を確保することは、労働環境の改善、清掃コストの削減、および法規制への対応力を高めることに直結します。

株式会社マキノは、1932年の創業以来、常に現場の「痛み」に寄り添った技術開発を続けてきました。
マキノの技術は、貴社の現場を「精密な分離システム」が稼働する美しい空間へと変えるお手伝いをさせていただきます。

もし、スラリーの漏れや床の清掃に限界を感じているのであれば、一度マキノへご相談ください。1.5MPaの高圧運転と清潔な現場を両立させる、最適な設計を共に構築しましょう。

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FAQ|よくある質問

Q:既存のフィルタープレスのろ過板だけを「パッキン付き」に交換することは可能ですか?


はい、可能です。
ろ過板の更新(オーバーホール)に合わせてパッキン付きタイプへ変更することで、劇的に現場環境を改善した事例が多くあります。
現在の装置サイズや運用圧力を伺った上で、最適なろ過板をご提案いたします。

Q:パッキン付きにすることで、ろ布の交換頻度や手間は増えますか?


いいえ、管理はむしろ容易になります。
漏れによるろ布端面の汚れや固着が減少するためです。パッキン自体はろ過板の専用溝に埋め込まれており、通常のろ布交換手順を妨げることはありません。