「フィルタプレスを入れたいが、まとまった資金がすぐに用意できない」——設備更新を検討する工場長から繰り返し聞く言葉です。
実は、資金調達の方法を誤ると、脱水コスト削減で生み出した利益が金利・月額リース料に消えてしまうケースがあります。
この記事では、リース・割賦・自社購入の3パターンを試算し、どの選択が製造現場の収益改善に最も貢献するかを解説します。
フィルタプレスの導入コストはどれくらいかかるか
フィルタープレスの導入費用は、設備規模と仕様によって大きく異なります。
小型の手動タイプ(MSASシリーズ)では300万円前後、全自動の圧搾式(MDFWシリーズ・WAP型)では1,000万円を超えることも珍しくありません。
さらに設置工事費・配管費・電気工事費が加わり、総額は本体価格の1.2〜1.5倍になるケースが一般的です。
「購入するにはキャッシュフローが厳しい」という状況では、リースや割賦(分割払い)の活用が現実的な選択肢になります。
ただし、どちらが有利かは、減価償却方針・税務戦略・資金繰りの状況によって変わります。感覚ではなく試算で判断することが重要です。
リースと割賦の違いを3点で整理する
まず2つの仕組みを比較します。
リースは設備をリース会社が購入し、企業は月額料金で借りる形態です。
所有権はリース会社にあり、会計上はオフバランス(資産計上なし)にできます。
一方で解約が難しく、リース期間中は返品・改造が制限される点に注意が必要です。
割賦(ローン)は設備を分割払いで購入する形態です。
所有権は最初から企業側にあり、減価償却による損金算入が可能になります。
また、補助金の受給対象になりやすいのも割賦の大きな特徴です。
簡単にまとめると、リースは月額を抑えたい・BS軽量化を重視したい場合に向き、割賦は税務メリット・補助金活用・長期保有を重視する場合に向きます。
3つの資金調達パターンを試算して比べる
設備総額1,000万円のフィルタプレスを導入する場合を例に、主要3パターンを試算します。
(以下の数値はあくまで概算です。実際は設備規模・金融機関の条件・補助金の有無によって異なります)
| 項目 | 自社購入(一括) | 割賦(5年) | リース(5年) |
|---|---|---|---|
| 初期支出 | 1,000万円 | 頭金のみ(例:200万円) | 0〜初月費用のみ |
| 月次コスト | なし | 約16〜18万円/月 | 約18〜22万円/月 |
| 5年間総支出 | 1,000万円 | 約960〜1,080万円 | 約1,080〜1,320万円 |
| 資産計上 | あり(減価償却) | あり(減価償却) | なし(オフバランス) |
| 補助金活用 | 可能 | 条件次第で可能 | 基本的に不可 |
5年間の総支出だけを見れば、一括購入が最も安く、リースが最も高くなります。
しかし、「手元キャッシュを何に使うか」という視点も欠かせません。
設備に1,000万円を一括投資した場合、その期間の運転資金が拘束されます。
産廃コスト削減で年間300万円を回収できる設備なら、割賦で借りながら削減分を内部留保する方が資金効率の良い場合もあります。
補助金との組み合わせで実質負担をさらに圧縮する
フィルタプレスは、複数の補助金・税制優遇の対象になります。
代表的なものとして、中小企業投資促進税制(即時償却または税額控除)や、ものづくり補助金(一般型・グローバル展開型)があります。
補助金を受給するには、原則として設備の所有権が申請者にあることが条件です。
そのためリースでは補助金を受け取れないケースが大半です。
割賦や自社購入では補助金の活用が可能です。
例えば、1,000万円の設備にものづくり補助金(補助率1/2、上限750万円)が採択された場合、自己負担額は250〜500万円程度に圧縮できます。
補助金を考慮すると、5年間の実質負担ではリースよりも自社購入・割賦が有利になるケースが多くなります。
投資回収期間から最適な調達方法を選ぶ
最終的な判断軸は「投資回収期間(Payback Period)」です。
産廃処理費の削減額と、資金調達コスト(金利・リース料)を対比することで、どの選択が最も早く利益を生み出すかが見えてきます。
一例として、含水率(分離後の固形分に残る水分の割合)を5%改善することで年間産廃コストが150万円削減される工場の場合を見てみます。
| 調達方法 | 実質年間負担(概算) | 年間産廃削減額 | 回収の目安 |
|---|---|---|---|
| 一括購入(補助金なし) | 1,000万円(初期のみ) | 150万円 | 約6〜7年 |
| 一括購入(補助金500万円) | 500万円(初期のみ) | 150万円 | 約3〜4年 |
| 割賦(5年) | 約200万円/年 | 150万円 | 5年後から黒字化 |
| リース(5年) | 約240万円/年 | 150万円 | リース終了まで赤字 |
この試算からも分かるように、リース月額が産廃削減額を上回る場合、リース期間中は実質的なコスト削減効果が出ません。
「リースなら手軽」という先入観が、設備投資の経済合理性を損なうリスクがあります。
一方、補助金を組み合わせた一括購入は投資回収を大幅に早める可能性があります。
まずは現場の産廃削減見込み額を具体的に試算することが、最適な調達方法の選択につながります。
フィルタープレスの詳細はこちら
マキノが提案する「導入前試算」の価値
マキノでは、設備導入の前に「産廃削減シミュレーション」を提供しています。
現在の廃棄物重量・含水率・産廃処理単価をお聞きすることで、フィルタプレス導入後の削減額を具体的な金額で試算することができます。
試算には、現場のスラリー(液体に微細な固体が混じったドロドロの液体)10〜20リットルをお預かりしてのラボテストも活用できます。
実際の脱水性能をデータで示すことで、リースか割賦かの判断材料をより確かなものにすることが可能です。
1932年の創業以来、6,000例以上の納入実績を持つマキノは、多種多様な業種・製造プロセスへの対応経験を持ちます。
「選択を間違えたくない」という段階からのご相談をお待ちしています。
まとめ
リース・割賦・一括購入のどの調達方法が最適かは、産廃コストの削減額・補助金の活用可否・キャッシュフローの状況で変わります。「リースなら手軽」という先入観が長期的なコスト改善の足を引っ張るケースがあります。
「導入後にどれだけ削減できるか」の試算を手元に持ってから資金調達方法を選ぶことが、収益を最大化する正しい順序です。現場の産廃量・処理費・現在の含水率を教えていただければ、削減シミュレーションを一緒に試算します。
「リースか割賦か」の判断より前に、まず「どれだけ削減できるか」の数値を手元に持ってから検討することをお勧めします。
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FAQ|よくある質問
Q:フィルタプレスはリースの対象設備になりますか?
一般的なリース会社では、フィルタプレスはリース対象設備として取り扱われます。
ただし、設備規模・仕様・ベンダーの条件によってはリース審査が通らないケースもあります。
また、リースでは補助金の受給が難しい点に注意が必要です。補助金活用を検討している場合は、割賦または自社購入をご検討ください。
Q:フィルタプレス導入に使える補助金にはどんなものがありますか?
主な補助金として、ものづくり補助金(補助率1/2〜2/3、上限750万円前後)、中小企業投資促進税制(即時償却または10%税額控除)、省エネ設備補助金などがあります。
年度によって制度内容や上限額が変わるため、導入時点の最新情報を確認することが重要です。
マキノでは補助金申請に関する情報のご案内も行っています。まずはご相談ください。
Q:フィルタプレスの投資回収期間はどれくらいが目安ですか?
産廃処理コストの削減額によって異なりますが、マキノの納入実績では1〜3年での投資回収事例が多数あります。
含水率5%の改善で年間数百万円の産廃費削減につながるケースもあります(産廃処理費約2万円/t想定)。
補助金を組み合わせた場合はさらに回収期間が短縮されることが多く、投資判断のしやすさも高まります。






