「圧搾まで終わらせたはずなのに、含水率がもう1〜2%下がらない。」
フィルタープレスで圧搾式を使いながらも、目標の含水率に届かない現場では、「ブロー」工程の有無と設定が見直しポイントになります。
この記事では、フィルタープレスの圧搾後に行う正ブロー・逆ブローの仕組みと、それが含水率(分離後の固形物に残る水分の割合)をさらに低下させるメカニズムを解説します。

圧搾だけでは取り切れない水分がある

フィルタープレスの脱水は、大きく「ろ過」と「圧搾」の2工程で構成されます。ろ過工程でスラリー(液体に微細な固体が混じったドロドロの液体)を圧入してケーキ層(ろ過が進むにつれてろ布の表面に積み重なる固体の層)を形成し、圧搾工程では膜を膨らませてケーキをさらに圧縮します。

しかし圧搾が終わった時点でも、ケーキの内部には毛細管現象によって水分が残っています。液体は固体の微細な隙間に引き寄せられる性質(表面張力・毛細管力)があり、機械的な圧縮だけでは完全に押し出せません。この「残留水分」を取り除くのが、ブロー工程の役割です。

正ブローと逆ブローの違い

ブロー工程では、圧縮空気をケーキに通すことで毛細管内の水分を空気で置換して除去します。正ブローと逆ブローはその空気の流れる方向が異なります。

正ブロー(フォワードブロー)は、スラリーが投入されたのと同じ方向から空気を送り込む方法です。圧入ラインから空気を入れ、ケーキを通過させてろ液排出口から水分を排出させます。ケーキ全体に均一に空気を通すことで、表面だけでなく内部の水分も除去できます。

逆ブロー(バックブロー)は、ろ液排出口側から空気を送り込み、ケーキを逆方向に通過させる方法です。正ブローで乾燥が不十分だった部分の水分をさらに引き出す効果があります。また、ろ布(液体だけを通して固体を堰き止める特殊なフィルター)の内側から外側へ空気を吹き抜けさせることで、ろ布に詰まった固体粒子を吹き飛ばす洗浄効果もあります。

正ブロー・逆ブローを組み合わせることで、どちらか一方だけより高い乾燥効果が得られます。WAP型(Water And Air Press型)は、水圧圧搾と空気乾燥(正ブロー・逆ブロー)を一体化した設計で、含水率60%の達成を可能にします。

ブローが含水率に与える影響 数値で見る効果

ブロー工程の効果は、スラリーの性状・ケーキの厚さ・空気圧力・ブロー時間によって異なりますが、目安として圧搾だけで70〜75%だった含水率をブロー後に60〜65%まで下げることが可能です。

この5〜10%の差が産廃コストに直結します。産業廃棄物の処理委託費は重量単価(約2万円/トン)で課金されるため、廃棄物重量の削減が処理費の削減になります。月100トンの汚泥処理で含水率を5%低下させると、年間約60トンの廃棄物削減、年間約120万円の処理費削減効果があります。

ブロー工程を追加する際の注意点は、ブロー時間と空気圧力の最適化です。空気圧が高すぎるとケーキが崩れ、ろ布を破損するリスクがあります。ブロー時間が短すぎると乾燥が不十分になります。マキノでは10〜20リットルのスラリーサンプルを使ったラボテストで、最適なブロー条件(圧力・時間・方向)を確認してから設計します。

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ブローを導入・最適化する際のポイント

既存のフィルタープレスにブロー機能を追加することも、ケースによっては可能です。対応できるかどうかは配管構造・ろ布の耐圧性・PLCの制御可否によって異なります。

新規導入の場合は、最初からブロー機能を組み込んだ設計が最も効率的です。WAP型は水圧圧搾と空気乾燥が一体設計であり、正ブロー・逆ブローのシーケンスをPLCで自動制御します。全自動運転と組み合わせることで、夜間の無人運転中もブロー工程が適切に実行されます。

ブロー圧力と時間の設定は「できる限り高い圧力・長い時間」が最善ではありません。スラリーの粒径が細かいケーキは空気が通りにくいため、高圧をかけてもケーキが割れるだけで乾燥効果が上がらないことがあります。最大1.5MPa(大気圧の約15倍に相当する圧力)の圧搾後であっても、ブロー圧力は別途最適化が必要です。ここがラボテストで確認する意味のある判断ポイントです。

マキノが正ブロー・逆ブローの両方を設計に組み込む理由

マキノが1932年の創業以来、6,000例以上の納入実績を通じて学んできたのは、「どのスラリーも同じ乾燥条件では乾かない」という事実です。食品スラリー・化学工場廃液・金属加工スラッジのそれぞれで、最適なブロー方向・圧力・時間は異なります。

一品一様設計でスラリーの粒径・粘度・温度を見極め、正ブロー・逆ブローの条件を個別に設計することで、「圧搾は終わったのに目標含水率に届かない」という問題を設計段階で解消します。東京商工リサーチ優良企業A評価(自己資本比率56.4%)を維持しながら継続的な技術開発ができているのも、こうした一品一様の積み上げが基盤にあるからです。

まとめ

圧搾後にブロー工程を追加することで、毛細管内の残留水分を空気で置換し含水率をさらに5〜10%低下させることが可能です。正ブロー・逆ブローの組み合わせは含水率60%以下を目指すWAP型の核心技術であり、産廃処理費の削減に直結します。
ブロー圧力と時間は「高ければよい」ではありません。スラリーの粒径・ケーキの厚さに合わせた最適条件をラボテストで確認することが、設計段階での品質安定につながります。

「圧搾後の含水率がどうしても目標に届かない」という現場の課題を、10〜20リットルのサンプルでラボテストを行い確認します。まずはご相談ください。

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FAQ|よくある質問

Q:正ブロー・逆ブローの追加で電力消費は増えますか。


ブローに使用する圧縮空気のエネルギーは追加されますが、ケーキの含水率が下がることで廃棄物重量が減り輸送コストが下がるため、トータルのエネルギーコストは改善されるケースが多いです。正ブロー・逆ブローのどちらか一方の追加か両方の組み合わせかによっても消費量は異なります。ラボテストで最適な設定を確認することで、エネルギー効率の高い条件を特定できます。

Q:ブロー工程はろ布の寿命に影響しますか。


適切な圧力・時間の設定でブローを行う場合、ろ布(液体だけを通して固体を堰き止める特殊なフィルター)への負荷は許容範囲内に収まります。逆ブローはろ布の詰まり除去にも効果があるため、定期的な逆ブローでろ布の寿命を延ばす場合があります。ただし過剰な圧力をかけるとろ布が破損するリスクがあるため、設計時にラボテストで上限を確認します。

Q:WAP型以外のシリーズでもブロー工程は追加できますか。


ブロー機能はWAP型の標準装備ですが、MDFシリーズ(全自動タイプ)や圧搾式フィルタープレスにもオプションとして組み込むことができるケースがあります。既存設備への後付けは配管構造・制御系統の改修が必要なため、設備の仕様確認が必要です。詳しくはご相談ください。