「夜間の脱水作業を任せられる人間がいなくなってきた。」
製造業の設備担当者からこうした声が届くようになったのは、ここ数年のことです。2026年問題(団塊の世代が全員75歳以上になることで生じる労働力不足の加速)は、排水・汚泥処理の現場にも確実に影響を与えています。
この記事では、フィルタープレスの省人化・無人化が製造現場の人手不足にどう対応できるかを、具体的なDXロードマップとともに整理します。

2026年問題が排水処理の現場に与える影響

2026年は、団塊の世代(1947〜1949年生まれ)が全員75歳以上となる節目です。これにより医療・介護分野の需要が急増するだけでなく、製造業でも熟練工の大量退職が集中し、現場の担い手不足が一気に深刻化すると言われています。

排水・汚泥処理の工程は、この問題の影響を特に受けやすい領域です。フィルタープレスの運転は、スラリー(液体に微細な固体が混じったドロドロの液体)の投入・圧力管理・ケーキ(ろ過が進むにつれてろ布の表面に積み重なる固体の層)の排出・ろ布(液体だけを通して固体を堰き止める特殊なフィルター)の洗浄と、複数の工程が連続する作業です。手動機では1バッチごとに人が介在する必要があり、夜間・休日の連続運転ができません。

人口動態の変化で採用が困難になっていく中、「今は問題ない」という現場でも、3〜5年後には人が配置できない時間帯が生まれます。今のうちに設備の省人化・自動化を進めておくことが、将来の生産継続リスクを下げる経営的な対応です。

手動機から全自動機へ 省人化の段階とコスト感

省人化の取り組みは、一足飛びに完全無人化する必要はありません。現状の設備レベルと予算に応じて、段階的に進めることができます。

第1段階は、半自動化です。ケーキの排出とろ布の洗浄を自動化しつつ、スラリーの投入と圧力管理は人が行う形態です。マキノのDMSシリーズ(半自動・コスト重視)がこれに対応します。完全自動化と比べて導入コストが抑えられ、既存設備からの切り替えとして選ばれるケースが多い。

第2段階は、全自動化です。スラリーの投入から圧搾・開枠・ケーキ排出・ろ布洗浄まで一連の工程を自動制御するタイプです。マキノのMDFシリーズ(全自動タイプ)は夜間・休日の無人運転に対応しており、日中の段取りだけで連続処理が継続できます。WAP型(水圧圧搾・空気乾燥)は自動化に加えて含水率60%達成という脱水性能も兼ね備えます。

人件費の削減額で計算すると、夜間2人×20時間/週×52週=年間約2,080時間分の労働を置き換えることができます。時給2,000円換算で年間416万円の人件費削減効果です。設備投資との比較で全自動機のROI(投資回収期間の目安1〜3年)が成立するケースが多い。

省人化DXのロードマップ 3つのフェーズ

製造現場での省人化・DX化を進めるには、一度に全てを変えようとせず、3つのフェーズで段階的に進めることをマキノでは推奨しています。

フェーズ1(0〜6ヶ月)は、現状の「見える化」です。現在の脱水工程で人が介在している時間・回数・工程を記録します。含水率(分離後の固形物に残る水分の割合)のバラつきと産廃処理費の現状数値も把握します。この段階で「どこが自動化の最優先か」が明確になります。

フェーズ2(6〜18ヶ月)は、設備の省人化です。ラボテスト(10〜20リットルのスラリーサンプルで実機相当の条件を確認する試験)を経て、半自動機または全自動機への更新を行います。この時点でケーキ排出・ろ布洗浄の自動化が完了し、夜間の無人運転が可能になります。補助金(中小企業省力化投資補助金・省エネ補助金)の活用でコストを圧縮します。

フェーズ3(18ヶ月以降)は、データ活用です。タッチパネル・PLC(プログラマブルロジックコントローラ)によるログデータを活用し、圧力・処理時間・ろ布の洗浄頻度を記録することで、熟練工のノウハウをデジタル化します。担当者が変わっても同じ品質で運転できる体制を作ります。

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省人化と脱水性能は両立できるのか

「自動化すると品質が落ちるのでは」という懸念を持つ現場担当者は少なくありません。しかし全自動機の場合、むしろ品質が安定します。理由は、人の判断によるバラつきがなくなるからです。

手動機では、ケーキの排出タイミングや圧力の調整が担当者の経験則に依存します。担当者が変わるとバッチごとの含水率にばらつきが出ます。全自動機ではPLCが圧力・時間・ろ布洗浄のサイクルをプログラム通りに制御するため、どの担当者が立ち会っても同じ品質が出ます。

マキノは一品一様設計で、スラリーの粒径・粘度・温度・pHに合わせた最適な圧力プロファイルを設計します。ラボテストで確認した条件をそのままPLCに組み込むことで、導入後も安定した含水率を維持します。

補助金で省人化投資のコストを下げる

省人化・自動化設備への投資は、複数の補助金・税制優遇と組み合わせることで実質的なコストを大きく下げられます。

中小企業省力化投資補助金は、省力化・自動化設備の導入を対象にしており、フィルタープレスの全自動機が対象に含まれる可能性があります。省エネ補助金は、現行設備との電力消費比較で削減効果を示すことが採択の要件です。中小企業投資促進税制(取得価格の30%特別償却または7%税額控除)と組み合わせることで、実質負担をさらに低減できます。

マキノは1932年創業・納入実績6,000例以上の専門メーカーです。補助金申請に必要な設備仕様・省エネ効果のデータ提供にも対応しています。

まとめ

2026年問題に向けた製造現場の省人化は、一足飛びに完全無人化する必要はありません。「現状の見える化→設備の省人化→データ活用」の3フェーズで段階的に進めることが、リスクを抑えながら確実に人手不足に対応する方法です。
省エネ補助金・中小企業省力化投資補助金・税制優遇を組み合わせることで、実質的な投資負担を下げながら、人件費削減と脱水性能の安定を同時に実現できます。設備更新の前に、省人化の可能性と補助金の活用条件を確認しておくことが、次の設備判断をスムーズにします。

設備更新の前に、省人化の可能性と補助金活用の可能性を一緒に確認しましょう。

ご質問・ご相談など
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FAQ|よくある質問

Q:夜間の無人運転に切り替えた場合、異常時の対応はどうなりますか。


MDFシリーズなどの全自動機はPLCによる異常検知機能を備えており、圧力異常・ろ布洗浄の不良・開枠エラーなどが発生した場合に自動停止します。異常発生時のアラート通知(メール・警報)を組み合わせることで、翌朝の点検前に問題を把握できる体制が作れます。夜間無人運転の具体的な安全設計についてはご相談時にご案内します。

Q:現在の手動機を全自動機に更新する場合、工期はどのくらいかかりますか。


マキノの場合、ラボテストから納品まで最短1ヶ月での対応実績があります。ただし設置スペースの改造や配管工事が必要な場合は別途日程が加わります。生産を止められない期間・休暇期間などのスケジュール調整も含めて、早期にご相談いただくことで最短の工期を検討できます。

Q:省力化補助金の申請には何が必要ですか。


補助金の種類によって異なりますが、一般的には「現状設備との省エネ・省力比較データ」「導入設備の仕様書」「事業計画書」が必要です。マキノではラボテストのデータ・設備仕様書・省エネ効果の試算資料を提供できます。申請を検討する場合は早めにご相談ください。採択には申請内容の数値根拠が重要です。