
廃水処理プラントの夜間当直を長年担ってきたある設備担当者は、「ケーキの排出が終わるまで帰れない」という状況を何年も続けていた。処理量は増える一方で、機械は変わらない。1日のサイクル数を増やしたくても、開枠から次の液入れまでの時間がボトルネックになって、どうにもならなかったという。同じ悩みを抱える現場は少なくない。フィルタープレスの処理能力そのものではなく、「サイクルとサイクルのあいだ」に時間を取られているのに、そこを改善する手段が見当たらないというケースだ。マキノのCAFシリーズは、まさにそのボトルネックを機構レベルから解消するために作られた機種である。「高速自動」という言葉が何を意味するのか、現場の変化と合わせて説明する。
「高速」は何が速いのか
フィルタープレスの1サイクルは、液体に微細な固体が混じったドロドロの液体(スラリー)を送り込む液入れから始まり、圧搾・ブロー・開枠・ケーキ排出・閉枠という工程を経て終わる。このうち「処理時間」として意識されやすいのは圧搾の工程だが、実際に時間を取られているのはその後の開枠からケーキ排出、そして次の閉枠までの一連の動作だ。ここを「ターンアラウンドタイム」と呼ぶ。1サイクル終了から次のサイクル開始までの時間のことを指す。
CAFシリーズが「高速」である理由は、このターンアラウンドタイムを機構レベルで短縮していることにある。具体的には、リンクチェーンによる一斉開枠と、ろ布振動機構の組み合わせが核になっている。
通常のフィルタープレスでは、複数枚のろ板(液体を封じ込める板状のユニット)を1枚ずつ順番に開いてケーキを排出する。100枚のろ板があれば100回の動作が必要になる。対してCAFシリーズのリンクチェーン機構は、全ろ板をチェーンでつないで一度に引き開く。この一斉開枠により、開枠にかかる時間が大幅に短くなる。
もう一つのろ布振動機構は、ろ過が進んでろ布の表面に積み重なった固体の層(ケーキ層)を、確実に落とすための仕組みだ。液体だけを通して固体を堰き止める特殊なフィルター(ろ布)にケーキが付着したまま残ると、次サイクルのろ過性能が落ちる。振動でケーキを剥がすことで、ろ布の再生時間を省きながら安定した状態を保てる。
この2つの機構が合わさることで、1サイクルあたりのターンアラウンドタイムが短縮される。1日に数サイクルを回す現場では、その短縮効果が積み重なって全体のスループット(単位時間あたりの処理量)に大きく影響する。
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「自動」はどこまでをカバーするのか
「自動化」という言葉は製造業の現場では多用されるが、何がどこまで自動なのかは機種によって大きく異なる。液入れだけが自動で、開枠や排出はオペレーターが判断して操作する、という製品も多い。CAFシリーズの自動制御が対象にするのは、液入れから始まり、圧搾・ブロー・開枠・ケーキ排出・閉枠までの1サイクル全体だ。これらをプログラムで制御するため、オペレーターが装置のそばに常駐する必要がない。
設備担当者の実感として語られることが多いのは、「機械が動いているあいだ、別の作業ができるようになった」という変化だ。以前は開枠のタイミングを見計らって装置の前で待機していたのが、プログラムが自動でサイクルを回すようになった結果、その時間を他の設備点検や記録作業に充てられるようになった。人が「機械のスケジュール」に合わせるのではなく、機械が「現場のスケジュール」に組み込まれる形に変わる。
夜間・休日の無人運転に活用している事業所もある。スラリーの投入量や圧力設定を事前に組んでおけば、設定した条件の範囲内でサイクルを繰り返す。深夜に人が機械の前に立つ必要がなくなることで、労務負担の軽減だけでなく、安全管理上の課題も減らせる。
大量処理現場でCAFシリーズが選ばれる理由
ここまで読んできて、「うちの現場に当てはまるかどうか」と考えた方は、少し立ち止まって処理量の推移を確認してほしい。1日あたりの処理サイクル数が増えている、あるいは今後増やさなければならない状況であれば、CAFシリーズが実力を発揮する条件に近い。
サイクルを1日に1〜2回しか回さない現場では、ターンアラウンドタイムの短縮による恩恵は相対的に小さい。ところが1日に5〜10サイクルを回す製鉄・化学・食品・廃水処理プラントのような環境では、1サイクルあたりの短縮時間が積み重なって、1日の総処理量に直結する。つまり処理頻度が高い現場ほど、CAFシリーズの「高速」が効く。
WAP型との比較でいうと、WAP型は水圧圧搾と空気乾燥に特化した機種で、分離後の固形分に残る水分の割合(含水率)を徹底的に下げることを優先する。産廃処理費の削減(含水率5%の改善で年間数百万円規模の削減になることもある)が最優先の現場ではWAP型が有力な選択肢になる。一方、含水率よりも「単位時間あたりにどれだけ処理できるか」が問われる現場ではCAFシリーズの考え方が合う。どちらが優れているという話ではなく、現場が何を優先するかによって機種が変わる。
フィルタープレス全般の選定で迷うのは、こうした「用途の違い」が外から見えにくいからでもある。スループット重視か、含水率重視か。その一点を整理するだけで、候補が大きく絞れることが多い。
信頼性と連続稼働の関係
高速・自動というスペックを実現したとしても、それが安定して続かなければ現場の計画は立てられない。1サイクルごとに担当者が確認しなければならない状況では、「自動化」という言葉の意味が薄れてしまう。
マキノが1932年から固液分離の機器を作り続けてきた蓄積は、この「安定して続く」部分に出る。ろ板の素材選定、シール部の耐久性、ろ布の選定と交換タイミング、制御プログラムのチューニング。これらは納入後のメンテナンスを含めて、現場ごとに調整が必要な要素だ。適切なメンテナンスが続けば、耐用年数は20〜30年に及ぶ機器も多い。高速・自動という機能は、長期にわたって信頼性が伴ってはじめて「現場の武器」になる。
1日複数サイクルを回す現場では、機械が止まるたびに処理計画が崩れる。だからこそ、稼働率の高さと保守体制の充実は、スペックと同じくらい重要な選定基準になる。CAFシリーズの採用を検討する現場では、機械のスペックシートと並んで、マキノのアフターサポート体制と消耗品の供給状況を確認することを勧めたい。
まとめ
CAFシリーズの「高速自動」は、ろ過スピードそのものではなく、ターンアラウンドタイムの短縮と1サイクル全体の自動制御によって実現している。リンクチェーン一斉開枠とろ布振動機構が組み合わさることで、1サイクルごとのロスタイムが減り、処理頻度が高い現場ほどスループットへの影響が大きくなる。大量処理が求められる製鉄・化学・食品・廃水処理の各分野で、単位時間あたりの処理量を増やしたい現場に向いた機種だ。WAP型との違いを整理しながら、現場の優先事項と照らし合わせて検討してほしい。
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FAQ|よくある質問
Q:CAFシリーズはどんな業種に向いていますか?
1日に複数サイクルを連続で回す必要がある現場に向いています。製鉄・化学・食品・廃水処理プラントなどが代表的な用途です。
1日5サイクル以上を安定して処理したい場合、ターンアラウンドタイムの短縮によるメリットが積み重なり、年間の総処理量に大きく影響します。
逆に、1日1〜2サイクルしか必要ない現場では、高速化の恩恵が相対的に小さくなるため、他の機種も含めて比較することを勧めています。
Q:WAP型とCAFシリーズはどう選び分ければよいですか?
WAP型は含水率を徹底的に下げることを優先する機種で、産廃処理費の削減(含水率5%の改善で年間数百万円規模)が最重要な現場に向いています。
CAFシリーズは単位時間あたりの処理量を最大化することを優先する機種です。含水率の低さより処理スピードと処理回数が問われる現場では、CAFシリーズが合います。
「何を優先するか」を最初に整理することが、選定の出発点になります。
Q:完全無人運転は可能ですか?安全面での懸念はありますか?
液入れ・圧搾・ブロー・開枠・ケーキ排出・閉枠のサイクル全体がプログラム制御されるため、夜間・休日の無人運転に活用している事業所があります。
安全面については、スラリーの投入量・圧力・時間などを事前に設定した条件の範囲内で動作するため、異常検知時の停止制御も含めてご相談いただける内容です。
現場の条件によって適切な設定が異なりますので、導入前にマキノの担当者と要件を確認することを勧めています。






