
含水率をもっと下げたいのに、今の設備では限界がある。そう感じている方は少なくないでしょう。
その限界の多くは、加圧の方式そのものに由来しています。単純加圧式はポンプで押し込む力に頼るため、ケーキ層が厚くなるほど圧力が伝わりにくくなる構造的な弱点があります。
この記事では、マキノのMDFWシリーズが採用する圧搾方式の仕組みと、単純加圧式との差がどこで生まれるかを具体的に説明します。
単純加圧式の限界はどこにあるか
フィルタープレスの基本的な動作は、スラリー(液体に微細な固体が混じったドロドロの液体)をポンプで濾過室に送り込み、ろ布(液体だけを通して固体を堰き止める特殊なフィルター)で固体と液体を分ける工程です。単純加圧式ではこのポンプ圧力が唯一の脱水力であり、通常0.6〜0.8MPa程度で運転します。
問題はケーキ層(ろ布表面に積み重なる固体の層)が成長するにつれて起きます。層が厚くなると流体抵抗が増し、同じポンプ圧力を維持しても実際にケーキへ伝わる有効圧力が落ちていきます。終盤の脱水効率が著しく下がり、含水率がある水準から改善しなくなる。これが単純加圧式の構造的な限界です。
含水率(分離後の固形分に残る水分の割合)が1〜2%下がるだけで、産廃として排出する量と運搬コストが変わります。限界を感じながら運転を続けている間、その差額は毎年費用として積み重なります。
MDFWシリーズが採用する圧搾方式の仕組み
MDFWシリーズは単純加圧式に対して、工程の後半にダイヤフラム(圧搾膜)による追加圧縮を加えます。
前半 ケーキ形成フェーズ
単純加圧式と同様にポンプでスラリーを送り込み、ケーキ層を形成します。この段階ではまだ水分が多く残っています。
後半 圧搾フェーズ
ケーキ層が十分に形成された後、濾過室内に組み込まれたダイヤフラムに圧力をかけます。ダイヤフラムが膨らむことでケーキを機械的に圧縮し、残留水分を搾り出します。MDFWシリーズはこの圧搾圧力を最大1.5MPa(大気圧の約15倍に相当する圧力)まで対応しており、その力でケーキを均一に押しつぶします。
ポンプ圧力に依存する前半と、ダイヤフラムが直接ケーキを押す後半の組み合わせが、単純加圧式との根本的な違いです。終盤になるほど脱水効率が落ちる単純加圧式の弱点を、圧搾フェーズが補います。
含水率にどれだけの差が出るか
含水率の改善幅は処理対象の性状によって異なりますが、同じスラリーを単純加圧式と圧搾式で比較すると5〜10%程度の差が生まれるケースがあります。この差が現場の数字にどう反映されるかを考えてみます。
仮に含水率が5%下がった場合、ケーキの重量はその分だけ減ります。産廃として委託処理しているなら、産廃処理費(約2万円/t想定)がそのまま削減コストに乗ります。年間処理量によっては削減額が数百万円に達することもあり、設備投資の回収期間が1〜3年に収まるケースも出てきます。
毎月の産廃費用の明細を見ながら「これ以上下げられない」と感じているなら、その原因が加圧方式にある可能性は十分にあります。
PP樹脂製接液部がもたらすもうひとつの優位性
MDFWシリーズの特徴は含水率だけではありません。スラリーと直接触れる接液部をポリプロピレン(PP)樹脂で構成している点が、特定用途では決定的な差になります。
金属製の接液部を持つ装置では、長期使用で微量の金属イオンがスラリーに溶け出すリスクがあります。メッキ処理や医薬品製造、食品・化粧品分野では金属コンタミ(異物混入)が品質基準に直結するため、この問題は無視できません。PP樹脂はサビが発生せず、金属イオンの溶出がない素材です。MDFWシリーズはこれを接液部全体に採用しているため、金属コンタミをゼロにした運転が可能です。
圧搾による高い脱水性能と、PP樹脂製接液部によるコンタミフリーの組み合わせは、含水率と清浄度の両方を求める現場にとって、他の方式では代替しにくい選択肢になっています。
MDFWシリーズが向いている現場とそうでない現場
圧搾式は万能ではなく、向き不向きがあります。選定の目安として整理します。
MDFWシリーズが適している場合
含水率の低減を最優先にしている現場、金属コンタミを排除しなければならない用途(メッキ、製薬、食品等)、産廃コストの削減を具体的な目標として設定している場合に適しています。現在の単純加圧式で含水率の改善余地が感じられないなら、圧搾フェーズを追加するMDFWへの切り替えが有効な選択肢になります。
単純加圧式で十分な場合
含水率の要求水準が現状の設備で達成できており、コストを抑えた導入が優先される場合は、単純加圧式の方がシンプルな選択です。処理対象の性状によっては圧搾工程の効果が限定的なケースもあり、まずは現状スラリーのデータを確認することが判断の出発点になります。
まとめ
単純加圧式はポンプ圧力だけで脱水するため、ケーキ層が厚くなるほど効率が落ちる構造的な限界があります。MDFWシリーズはケーキ形成後にダイヤフラムで追加圧縮する圧搾方式を採用し、最大1.5MPaの圧力でより低い含水率を実現します。含水率が5%改善されると産廃費の削減につながり、投資回収が1〜3年で見込めるケースもあります。接液部がPP樹脂製であることは、金属コンタミを禁じている用途での運用を可能にします。含水率の限界を感じている設備担当の方は、まず現在の含水率データと処理量を整理した上でご相談ください。
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FAQ|よくある質問
Q:MDFWシリーズの圧搾圧力はどのくらいですか?
最大1.5MPa(大気圧の約15倍)まで対応しています。単純加圧式が通常0.6〜0.8MPa程度で運転するのに対し、圧搾フェーズではそれを大幅に上回る圧力でケーキを均一に圧縮できます。この差が含水率の改善幅に直結します。
Q:単純加圧式からMDFWシリーズへの切り替えで、含水率はどれくらい改善しますか?
処理対象のスラリー性状によって異なりますが、同条件での比較で5〜10%程度改善するケースがあります。含水率が5%下がると産廃の排出重量が減り、年間で数百万円の処理コスト削減につながる場合もあります。正確な改善幅は処理対象のデータをもとに個別に確認する必要があります。
Q:接液部がPP樹脂製であることで、どのような用途に向いていますか?
メッキ処理液、医薬品原料、食品・化粧品原料など、金属イオンの混入を品質基準で禁じている用途に適しています。金属製接液部では長期使用で微量の金属イオンが溶出するリスクがありますが、PP樹脂はサビが発生せず溶出がないため、コンタミゼロの運転が可能です。






