
脱水機を動かしているのに、産廃の重量がなかなか減らない。そう感じている現場は少なくありません。その多くは、脱水のゴールを「固まれば十分」と捉えているところに原因があります。分離後の固形分に残る水分の割合(含水率)を、一つの指標として管理し始めると、コスト構造が変わります。
「含水率」は何を示しているのか
含水率とは、脱水処理後の固形分(ケーキ)に残っている水分の重量割合を指します。計算式はシンプルで、「水分重量 ÷ 全体重量 × 100(%)」です。
たとえば含水率70%とは、固形物100kgのうち70kgが水だという意味です。残る固体成分は30kgしかありません。それを産廃として排出する場合、処分費は「100kg分」にかかります。含水率が60%に下がれば、同じ固形成分を排出するときの総重量は75kgに近づき、処分費も下がります。
工場の現場では「ケーキが固まった」「排水がきれいになった」という感覚で脱水の良否を判断しがちです。ただ含水率という数値で管理すると、設備の調子の変化や、スラリー(液体に微細な固体が混じったドロドロの液体)の性質変化にも早く気づけます。
含水率5%の差が、年間のコストを変える
含水率5%の改善が、現場にどの程度の差をもたらすのか。マキノの試算では、含水率が5%下がると年間数百トン単位で排出重量が減り、産廃処理費(約2万円/t)換算で年間数百万円の削減になるケースがあります。
スラリーの発生量が多い現場ほど、このインパクトは大きくなります。「脱水機の導入コストは高い」と感じる場合でも、含水率改善による産廃費の削減だけで投資回収期間が1〜3年に収まる事例は珍しくありません。
さらに、輸送コストも連動します。排出重量が減れば、収集運搬の回数や費用も下がります。脱炭素の観点からは、輸送に伴うCO2排出量の削減にもつながります。含水率は単なる性能指標ではなく、経営数値と直結しています。
脱水方式によって、到達できる含水率は変わる
同じ「脱水」でも、方式によって達成できる含水率の水準は大きく異なります。
遠心分離機は高速回転で固液を分ける方法で、処理速度は速い一方、含水率は70〜85%程度に留まります。ベルトプレスは連続処理に向いていますが、含水率は85%以上になりやすく、排出物に水分が多く残ります。
フィルタープレスは、スラリーを密閉された空間に送り込み、圧力をかけて水分を押し出す方式です。到達できる含水率は50〜70%で、脱水性能という面では遠心分離機やベルトプレスを上回ります。さらに圧搾機能を加えたタイプでは、含水率60%台まで追い込むことも可能です。
どの方式が最適かは、処理するスラリーの粒径・粘度・温度、そして現場に求められる含水率の目標値によって変わります。「方式の良し悪し」より「自社の目標に合っているか」が判断のポイントです。
フィルタープレスが含水率を下げられる理由
フィルタープレスの脱水は、大きく「ろ過」と「圧搾」の2段階で進みます。
最初のろ過工程では、スラリーをフィルタープレス内に送り込み、液体だけを通して固体を堰き止める特殊なフィルター(ろ布)で固液を分離します。ろ過が進むにつれてろ布の表面に積み重なる固体の層(ケーキ層)が厚くなり、それ自体がフィルターとして機能するようになります。
この段階で終わるのが単純加圧式です。圧搾式は、ケーキ層が形成された後にさらに圧力をかけてケーキを物理的に押しつぶし、残った水分を強制的に絞り出します。マキノの圧搾式では大気圧の約15倍に相当する圧力(1.5MPa)まで対応しています。
ただし、圧力を上げれば必ず含水率が下がるわけではありません。スラリーの性質によっては、過剰な圧力がケーキを圧密化させて逆に水分が抜けにくくなるケースもあります。「常に最大圧力が正解ではない」というのがマキノの一貫した考え方で、スラリーの粒径・粘度を見極めた上で圧力・ろ布・サイクル時間を最適に組み合わせています。
含水率はテストで「先に確認」できる
設備を導入してから「思ったより含水率が下がらなかった」という声は、業界全体でよく聞きます。スラリーの性質は現場ごとに異なり、同じ業種・同じ品目でも、原料の産地や製造工程の違いで脱水特性が変わります。
マキノのテクニカルセンターでは、実際のスラリーサンプルを使った試験を行っています。必要なサンプル量はスラリーの性質によりますが、概ね10リットルからポリタンク1本(20リットル程度)をお預かりできれば試験を進められます。試験結果から到達できる含水率の目安・適切なろ布・推奨するサイクル条件を提示し、導入後のギャップを最小限にします。
試験を経ることで、「このスラリーは単純加圧式で十分か、圧搾式が必要か」「水圧圧搾と空気乾燥の組み合わせで含水率60%台まで届くか」といった判断材料が揃います。含水率の目標値と予算・設置スペースを照らし合わせた上で、設備選定に進めます。
まとめ
含水率は、脱水後の固形分に残る水分の割合を示す指標です。この数値が5%変わるだけで、産廃処理費・輸送コスト・CO2排出量に連鎖的な影響が出ます。フィルタープレスは遠心分離機やベルトプレスより到達できる含水率が低く、圧搾式ではさらに水分を絞り出せます。ただし最適な圧力・ろ布・サイクルはスラリーの性質次第で、一般解はありません。テクニカルセンターでの試験を通じて自社スラリーの脱水特性を先に確認することが、導入後のギャップを防ぐ確実な手順です。
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FAQ|よくある質問
Q:現在使っているベルトプレスから乗り換えると、含水率はどれくらい改善しますか?
ベルトプレスの到達含水率は85%以上が多いのに対し、フィルタープレス(単純加圧式)は50〜70%、圧搾式ではさらに低い水準を狙えます。
スラリーの性質にもよりますが、含水率が15〜25ポイント改善するケースは珍しくありません。
含水率5%の改善で年間数百万円の産廃費削減になる試算を当てはめると、乗り換えによる経済効果は相当大きくなります。
ただし数値はスラリーによって異なるため、テクニカルセンターでのサンプル試験を通じて事前確認することをお勧めします。
Q:含水率を下げるために圧力を上げれば上げるほどよいのですか?
必ずしも正しくありません。
スラリーの性質によっては、過剰な圧力がケーキを圧密させて水分の逃げ道を塞ぐことがあります。
最適な圧力はスラリーの粒径・粘度・温度などによって異なります。
マキノでは1.5MPa(大気圧の約15倍)まで対応できる圧搾機能を持ちながら、「常に最大圧力が正解ではない」という考え方で設計しています。
スラリーの特性に合わせて圧力・ろ布・サイクル時間を組み合わせることが、含水率を安定して下げる近道です。
Q:テクニカルセンターでのテストはどのように進めればよいですか?
まずはお問い合わせフォームまたはお電話でご連絡ください。
スラリーのサンプルをお預かりし、テクニカルセンターで試験を行います。
必要なサンプル量は概ね10リットルから、ポリタンク1本(20リットル程度)が目安です。
試験を通じて、到達できる含水率・適切なろ布・推奨サイクル条件を提示します。
1932年の創業以来、納入実績6,000例以上の経験が試験結果の解釈に活きます。
費用や詳細な手順はスラリーの性質・量によって異なるため、まずはご相談ください。






