適切な温度・湿度制御と均一な雰囲気管理が可能なドライヤ
成形品の素地乾燥では、通常表面の水分から蒸発が始まり、徐々に内部の水分が表面に移動し蒸発をしていきます。水分の移動と蒸発により成形品は収縮していきますが、場所ごとに収縮の度合いは一定ではなく収縮ムラ(収縮度合いの差)が発生します。この収縮ムラが大きくなると、成形品はひび割れ(切れ)を起こします。
マキノのエコドライヤは温湿度コントロールとエアサーキュレーション技術により製品に最適な乾燥カーブで運転することができます。これにより収縮ムラの発生原因を抑え、切れの抑制と乾燥時間の短縮を実現しました。
典型的な乾燥カーブ
特徴
温湿度コントロールとエアサーキュレーションユニット(ACU)
エコドライヤでは
- 加熱装置(※1)から発生させる熱と、加湿装置から供給される水分(※2)や成形品から蒸発する水分を温湿度センサーにより検知し、成形品にとって最適な温湿度をコントロールします。
- 成形品乾燥にとって最適に温湿度コントロールされたエアは、約13m/sの強風を発生させることができるACU(※3)により乾燥室内に送り込まれます。
- 上から下まで均一な風を発生させるため、ACUはコーン型(逆円錐形)の形状をしています。
これにより乾燥室内を均一な雰囲気にします。
成形品の風が当たりにくい窪んだ箇所や陰になる箇所の空気も、強い風速により圧力差が発生し、空気の置換が起こり、乾燥を促進させます。(※4) - ACUは回転しながらエアを吹き出すことにより、インターバルをつけて成形品に風を当てます。これは素地内の水分の移動速度に合わせています。(※5)
- ACUの数は、乾燥室の大きさ、成形品の量・乾燥特性により決まります。
構造
- 乾燥室のパネルは、断熱材を0.6mmの鋼板でサンドイッチしたもので、強度が強く鉄骨フレームによる補強が少なく、シンプルな構造になります。
- 断熱効果の高い断熱材(発泡ポリウレタンやロックウール・厚さ60~120mm)を製品ごとの乾燥温度にあったものから選択できます。
- 各パネルは、はめ込み式の為、施工が容易で短時間での組み立てが可能で、気密性が高く、高い断熱性が得られます。
操作性
エコドライヤの専用制御ソフトは
- Windows の OS 上のアプリケーションなのでパソコンで操作が行えます。
- GUI(グラフィカルユーザインターフェイス)を使用しており、容易に乾燥曲線の作成・変更、PID 制御設定ができ、初心者の方でも操作が容易です。
- 設定した乾燥曲線はプリントアウトやアーカイブとして記録が可能です。
パソコンの画面上に乾燥室の状態が表示される為、各装置の運転状況、温度・湿度がリアルタイムで確認できトラブルが発見しやすくなっています。 - 1台のソフトで複数基の乾燥室の制御が可能です。
経済性
- 温度コントロールにより無駄な熱を発生させることがなく、断熱材の使用により放熱ロスを防ぐことができます。
- 乾燥時間が短縮されることにより、リードタイム全体が短縮され、今まで余分に使っていた乾燥スペースが不要となり、スペースの有効活用が可能となります。
- 成形品のキレが大幅に減少することで、歩留まりが良くなります。
焼成炉などの廃熱を熱源として活用することもでき、更に省エネ化が図れます。
既設ドライヤとの比較
エコドライヤと既設ドライヤとの乾燥時間の比較(一例) | |||||
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製品 | 寸法 (㎜) |
既設ドライヤ (hr) |
エコドライヤ (hr) |
削減時間 (hr) |
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衛生陶器 | 洋風便器(高圧鋳込み) | 805 × 437 × 407 | 86 | 32 | -54 |
洗面器 | 810 × 617 × 255 | 40 | 10 | -30 | |
小便器 | 450 × 300 × 1100 | 96 | 30 | -66 | |
石こう型 | 950 × 950 × 350 | 170 | 67 | -103 | |
碍子 | カットアウト碍子 | 270 × 110 × 190 | 120 | 48 | -72 |
屋根瓦 | 役物瓦 | 275 × 295 × 210 | 144 | 72 | -72 |
SiC 耐火ブロック | 230 × 230 × 130 | 240 | 120 | -120 |
注)上記乾燥時間は、製品の形状、成形条件により異なる場合があります。
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- 衛生陶器、碍子、屋根瓦、耐火物、大型タイル、ハニカム等